2026.07.29
- ニュース
「あえて負荷をかける」指導法とは?
「エリートスポーツの世界では、選手は常に高いプレッシャーにさらされていますが、そうした環境下でも高いパフォーマンスを発揮するための能力は不可欠です。近年、これらを養う手法として、トレーニング状況を意図的に不安定にする計画的混乱と言われる手法が注目されている」とのことです。そこで、東京成徳大学、新潟医療福祉大学、そして筑波大学の共同研究グループは、「世界的なサッカー指導者であった、故イビチャ・オシム氏のコーチング実践を対象に、意図的にストレスや負荷を与えるトレーニング戦略である計画的混乱の内容と、それが選手やチームにどのような変化をもたらすと捉えられていたかを明らかにした研究成果を行った」と発表しました。具体的には、「2003年から2006年にかけてオシム氏を支えた5名の日本人コーチへの詳細なインタビュー調査を実施し、その語りを分析。その結果、オシム氏は(1)不安定な練習場所、(2)不確定な競争条件、(3)意図的な予測不能性、(4)多次元的な負荷、という4つの手法を組み合わせていたことが見出された」と述べています。加えて、これらは「単に選手を追い込むための「厳しさ」ではなく、試合中の不確実な状況への習熟や、高度な状況判断力(ゲーム・インテリジェンス)、自律的な問題解決能力の向上、さらにはチームが自律的に連携を深める自己組織化を促すための戦略的な環境設計として理解された」とも述べています。勿論、適切なサポートを欠いた過度な負荷は、逆効果になるリスクがあることも理解されていたとか。その結果、①個人レベルでは、どんなストレス下でも動じずに実力を発揮できるタフさが養われたこと ②判断のスピードと質の向上については、相手チームの展開を予測する高度な状況判断力が発達したこと ③自ら考えて行動する力については、主体的に準備・行動する姿勢が強化されたこと そして、④チームレベルの変化においては、指示がなくても「あうんの呼吸」で連動する集団へ生まれ変わったこと また、練習のルーチン(決まりきった流れ)をあえて崩すことで、選手同士の対話が必然的に増え、チーム内の連携や信頼関係の輪が広がったと指摘しています。本共同研究グループは、「特定のエリートサッカー環境におけるアシスタントコーチの回顧的な語りに基づくものであり、 オシム氏本人の直接的な意図そのものや、選手が実際にどう感じていたかまでは調査できていません。また、特定のエリートレベルでの事例であるため、あらゆる年代やレベルにそのまま適用できるわけでもありません。そのため、今後は、選手側の視点や、異なる競技レベルでの効果の検証が望まれます」と結んでいます。
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20260724140000.html
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM

