港区立高輪いきいきプラザ

2026.05.08

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「適度な運動」って何? それを科学的に定義?

高齢者にとって運動は様々な面で重要ですが、その方の健康状態によっては「強度の運動」ではなく「適度な運動」が望ましいという意見をよく耳にします。では、「適度な運動」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?神戸大学大学院医学系研究科の研究グループは、「これまで経験や主観でしか示されてこなかった『適度な運動』を、マウスを対象としたマルチオミクス解析によって科学的に定義することに成功した」と発表しました。因みに、このマルチオミクス解析とは、「ゲノム、遺伝子発現(トランスクリプトーム)、DNAメチル化などのエピゲノム、タンパク質の発現・修飾(プロテオームやリン酸化プロテオーム)など、生命を構成する複数の分子階層を網羅的に計測し、統合的に解析する手法」だそうです。単一の指標では見えない生命現象の全体像を捉えることができると述べています。ともあれ、これまで曖昧であった「適度な運動」を、分子レベルで科学的に定義することに世界で初めて成功したといいます。さて、その研究内容ですが、具体的には、「マウスに漸増した強度の有酸素運動と筋力増強運動を行わせ、骨格筋の分子応答を調べることで、健康効果を最大化する最適な運動強度を見出した」と述べています。当プレスリリースによると、運動は、肥満、サルコペニア、骨粗鬆症、変形性関節症、循環器疾患、代謝性疾患、神経変性疾患など多岐にわたる疾病の予防や改善に効果があることが知られていますが、この「適度」な運動が、どのような強度であり、分子レベルで何が起きているかは、これまで十分に解明されていなかったそうです。さらに、「運動強度が少なければ十分な効能は得られず、逆に強すぎれば酸化ストレスやミトコンドリア機能障害を引き起こし、かえって悪影響を及ぼす」とか。つまり、従来の研究の多くは、「有酸素運動に偏り、運動強度の標準化が不十分など、最適な運動強度を分子レベルで定義した例はほとんどなかった」といいます。そこで、本研究では、「運動の主たる標的臓器である骨格筋に着目し、運動強度を系統的に変えた動物実験と、マルチオミクス解析技術を組み合わせ、『適度な運動』を客観的かつ定量的に定義することを目指した」という訳です。本研究グループは、「今後は、ヒトへの橋渡し研究として、マウスで定義した『適度』が、ヒトでも同様に成り立つか検証します」と述べ、「個別化医療への展開として、遺伝子やエピゲノム情報を組み合わせた個別最適な運動処方(プレシジョン・エクササイズ)の基盤情報として本研究成果を活用します」と結んでいます。

https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/20260430-67792/

画像はプレスリースから引用させて頂きました。

SM

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