港区立高輪いきいきプラザ

2026.04.15

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行動経済学のナッジと健康管理

行動経済学を使った「ナッジ」の作り方というと難しく聞こえるかもしれませんが、もし、二つの選択肢があり「今一万円もらう」「1週間後に一万100円もらう」のどちらかを選ぶとしたら、あなたはどちらを選びますか?大竹文雄氏の著書「行動経済学の使い方」(岩波新書)から引用させていただきました。たとえば肥満の問題ですが、食事をする際にもう一口食べると食欲が満たされる嬉しさとそれによって将来太るという損失を天秤にかける場合、太った人は合理的な意思決定の結果太っているといいます。つまり、食欲を優先し、「明日からダイエット」しようという先延ばし行動ですが、それは誰にでもある経験ではないでしょうか?本書の第7章では、健康活動は行動経済学的なバイアスが発生しやすい分野であると述べています。もう一例上げると、大腸がん検診のケースです。ある町でのナッジの実験で「今年度大腸がん検診を受診された方には来年度『大腸がん検査キット』をご自宅へお送りしますという利得メッセージを、あるグループに送付。もう一方のグループには「今年度大腸がん検診を受診されないと、来年度ご自宅へ『大腸がん検査キット』をお送りすることができません」と損失メッセージを送付しました。さて、利得メッセージを受け取ったグループで、実際に受診した割合は22,7%。一方、損失メッセージを受け取ったグループでは、29,9%でした。この違いはなぜ生じるのでしょうか?大竹氏は「利得メッセージは送られてこない状況を参照点にしているのに対し、損失メッセージは送られてくる方を参照点にしているため、より気持ちが強く働くのだと述べています。すなわち、こうした例から、より良き意思決定をうながし、より良い行動を引き出す知恵と工夫が行動経済学のナッジであるといえるのです。一人ひとりの健康意識を考える上で大いに役立つのではないでしょうか?

 SM

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