2026.09.02
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たった1本の歯から・・・
日本は世界有数の災害多発国で、東日本大震災では甚大な被害が発生し、多くの行方不明者を出しました。そうした中で、死後長期間が経過したご遺体では、顔貌による身元確認が困難となるため、指紋、歯科所見、DNA型などの客観的な科学的手法による個人識別が行われますが、これらの方法を用いても身元を特定できない事例は少なくないといいます。そこで、「白骨化や高度腐敗したご遺体でも、たった1本の歯から出生年・死亡時年齢・居住地域・薬物使用歴・性別・DNA型の6種類の法医学的情報を統合的に取得できることを世界で初めて実証した」と発表したのは、東京科学大学 医歯学総合研究科法歯学分野および山形大学高感度加速器質量分析センターの共同研究グループです。「歯を構成する4組織(エナメル質・象牙質・歯髄・セメント質)の特性を生かし、それぞれに最適な分析法を組み合わせることで、1本の歯から多面的な個人識別を実現し、災害や事件・事故などで高度に損傷したご遺体の身元確認を迅速・高精度化し、限られた試料から最大限の個人識別情報を引き出す新たな法歯学的手法である」と述べています。当プレスリリースによると、「白骨化や高度腐敗したご遺体から採取した1本の歯から、歯を構成する各組織の特性を生かし、エナメル質、象牙質、歯髄、セメント質それぞれに最適な分析法を適用。具体的には、エナメル質では『放射性炭素分析』による出生年推定と『炭素安定同位体分析』による居住地域推定、象牙質では『アスパラギン酸ラセミ化反応』による死亡時年齢推定、歯髄および象牙質では薬毒物分析、セメント質および象牙質ではDNA型解析(性別判定を含む)を実施し、1本の歯から6種類の法医学的情報を統合的に取得できることを実証した」述べています。加えて、「歯は人体の中で最も硬い組織の1つであり、白骨化や高度腐敗が進行したご遺体でも最後まで残存しやすい組織である」とも述べています。本研究グループは、「今回の研究の成果は、災害、事件、事故などにおける身元確認の迅速化と高精度化に寄与し、身元判明率の向上や、ご遺体の早期返還につながる可能性があります。さらに、限られた試料を有効に活用できることから、貴重なご遺体試料の保存や将来の再鑑定への備えに加え、法医学・法歯学鑑定の効率化にも貢献するだろう」と述べ、「本研究で示した各生化学的解析手法について、今後は解析精度と再現性をさらに高め、実際の法医学・法歯学鑑定で広く活用できる標準的な解析法の確立を目指します」と結んでいます。
https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/information/press/20260820_01/
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM

