2026.08.26
- ニュース
骨折後の骨は本当に元通りに治るの?
高齢者の骨折は、筋力の低下、寝たきり、要介護状態に直結します。ただ、骨は骨折などの損傷を受けても治癒する能力をもっているそうです。なぜなら、骨の中にある骨髄には、血液を作る細胞だけでなく、骨の形成や骨髄環境の維持に関わる骨格幹細胞や骨髄間質細胞が存在し、骨が損傷すると、これらの幹細胞や間質細胞が活性化し、骨芽細胞へと分化することで新たな骨を作ります。そのため、骨折は治癒すれば元の状態に戻ると考えられてきたといいます。ところが、臨床的には、過去に骨折したことがある人では、骨密度の低下や再骨折リスクが高くなるというのです。具体的には、「骨折などで骨が損傷すると、通常は骨の中の骨格幹細胞(骨や軟骨などの骨格組織の起源となる幹細胞)や骨髄間質細胞(骨の中の骨髄に存在し、骨の形成や造血細胞の支持などに関わる細胞)が活性化され、骨芽細胞(骨形成に中心的な役割を果たす細胞)へと分化することで新たな骨を形成し、骨は一見元の状態へと治癒します」ということですが、実際は骨折歴のある人では再骨折リスクが高まるそうです。ただ、その仕組みは今までよく分かっていなかったとか。そこで、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科らの研究グループは、その仕組みについて「損傷を受けた骨では、骨髄に存在する骨髄間質細胞が永久的な疲弊状態に陥ることで細胞の機能が低下し、骨を形成する能力が失われ、再度の損傷時には急激に骨髄脂肪細胞へと分化し、骨髄脂肪が増加する」と発表しました。すなわち、「骨の損傷治癒過程では骨髄に存在する骨髄間質細胞が骨を形成しますが、一度損傷を受けた骨では、骨髄間質細胞の機能が低下することで骨を形成する能力が失われ、再度の損傷時には、骨髄間質細胞は急激に骨髄脂肪細胞になる」と述べています。本研究では、マウスの骨髄損傷モデルおよび骨折モデルを用いて検証した結果、一度損傷を受けた骨では、見かけ上治癒したとしても細胞レベルでは骨髄間質細胞が損傷による刺激で慢性的な炎症を起こしていると述べています。本研究成果は、「骨は治癒すれば完全に元通りになる」という従来の考え方に対し、「骨の細胞には損傷の影響が残り、再生能力が低下する可能性を示した」と述べ、「骨髄間質細胞の疲弊を防ぐ、あるいは疲弊した細胞の機能を回復させる方法を開発できれば、将来的に骨折治癒を促進する治療法や、骨粗鬆症、難治性骨折、骨再生医療への応用が期待される」と結んでいます。
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/science/science473.html
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM

