2026.08.19
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魚の成長は「住む場所」で決まる?
沖縄科学技術大学院大学(OIST)とフランス国立科学研究センターの共同研究グループは、「サンゴ礁に生息する魚をモデルとして用い、環境の違いが発生の調節に不可欠な甲状腺ホルモンのシグナル伝達にどのような影響を与えるかを調査した」と発表し、「環境の違いが発生に与える影響の仕組みを明らかにした」と述べています。具体的には、さまざまな生理学的解析を組み合わせた結果、魚の発生や成長の過程が、生息する環境によって大きく変化することが明らかになったとも述べています。例えば、異なる環境に定着した魚は成長速度や体の変化の過程が異なり、マングローブに生息する魚は他の環境の魚に比べて成長が遅く、体色も濃くなることが知られていますが、こうした目に見える違いが、遺伝子発現やホルモンシグナル伝達のレベルでも生じているのかを調べたといいます。その結果、異なる時点において、異なる遺伝子が発現していることが分かったそうです。すなわち、これには甲状腺ホルモンの合成に関与する遺伝子や、色素沈着の変化に関わるものなど、甲状腺ホルモンによって制御される遺伝子が含まれていたこと、そして、エネルギー代謝に関連する遺伝子発現の変化も確認され、有酸素代謝から無酸素代謝への切り替えが起きていることが示されたとか。本研究の研究者は「例えるなら、持久系の有酸素運動から高強度インターバルトレーニングへ切り替わるようなものです。魚は外洋から沿岸域へ移る際、長距離遊泳に適した代謝から、サンゴ礁での生活に向けて体を急速に作り変えるための代謝へ移行します」と説明しています。本研究では、さらに島沿岸のマングローブ、岩礁海岸、砂浜にそれぞれ設置した一時飼育施設でも同様の測定を実施。その結果、生息環境が魚の成長や変態の過程に明確な影響を与えていることが分かったと述べています。「砂浜では比較的資源が乏しいため、魚は餌を探したり捕食者から逃れたりするために、より多くのエネルギーを使わなければならない可能性があります。一方、岩礁域やマングローブには、より豊富な資源と隠れ場所があります」と説明しています。本共同研究グループに参画した研究者の一人は、「生物の成長や発達は、進化のような長い時間スケールで決まるものと考えられがちですが、実際には一個体の一生の中でも、周囲の環境にこれほど敏感に反応していることには驚かされます」と述べ、「外洋から沿岸へ移ることは非常に大きな変化であり、強いストレスを伴います。サンゴ礁へ定着した初日のうちに約90%の幼魚が捕食され、生き残った個体も最初の1週間で体重の約20%を失います。彼らにとってはまさに試練なのです」とも述べています。ともあれ、「環境と成長は、私たちが想定しているよりも密接に結びついている」ということでしょうか。
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM

