2026.08.26
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歩行機能低下と認知症の関係
「近年、歩行は単なる運動機能ではなく、高齢者の全身状態や脳の健康を反映する重要な指標として注目されています。特に、歩行速度の低下や歩行の変動性の増大は、認知症発症リスクの上昇と関連することが報告されている」と述べるのは、東京都健康長寿医療センター研究所らの研究チームです。「高齢期の歩行機能低下が認知症発症リスクと関連する背景について、アルツハイマー病関連病理、生活習慣、健康状態、ライフコースの観点から整理した」と発表しました。そして、「歩行機能の低下は、アルツハイマー病に特異的な診断指標ではないが、脳の健康状態を反映する重要な非認知的サインである可能性がある」と述べています。当プレスリリースによると、「これまでの研究では、歩行機能の低下を示す高齢者では、認知症発症リスクが約1.2〜2.3倍高いことが示されている」そうです。また、「歩行機能が低下している高齢者では、アルツハイマー病に関連する病理変化であるアミロイドβやタウの蓄積、海馬萎縮などがみられる」とも。ただし、歩行機能低下はアルツハイマー病以外にも、血管性認知症、レビー小体型認知症、パーキンソン病、フレイル、整形外科疾患など、さまざまな病態でも生じるため、歩行機能低下と認知症発症の関連を理解するには、「歩行機能低下がアルツハイマー病を直接引き起こす」と単純に捉えるのではなく、血管性要因、身体活動、神経変性、生活習慣、加齢による身体機能低下などを含めた包括的な視点が必要であると述べています。そこで、本研究では4つの観点から次のように要点をまとめています。
➀認知症のリスクを高める生活習慣や健康状態の中には、歩行機能の低下にも関わるものがあります。例えば、心血管疾患、身体不活動、肥満、喫煙、抑うつなどは、認知機能と歩行機能の両方に影響する可能性があること。
➁アルツハイマー病(AD)に関連する病理変化は、認知症の症状が明らかになる10〜20年前から進行していることを考慮すると、アミロイドβやタウの蓄積、神経細胞の障害、海馬萎縮といったADに関連する病理変化は、記憶に関わる領域だけでなく、運動制御や認知と運動の統合に関わる神経ネットワークにも影響する可能性があること。
➂歩行機能低下に伴う要因が脳の健康に影響する可能性を考慮すると、フレイル、筋力低下、関節疾患などにより歩行機能が低下した場合、身体活動量が減少する可能性があり、それは脳血流の低下、炎症、血管機能の低下、神経栄養因子の減少などを通じて、脳の健康に影響すること。
④歩行機能と認知機能の関係は高齢期だけで形成されるものではなく、幼少期から中年期にかけての健康状態や生活環境の影響を受ける可能性があること。そして、歩行機能と認知機能は別々の機能ではなく、生涯にわたる脳と身体の健康状態が反映された相互に関連する指標と考えられる。
本研究チームは、歩行機能低下と認知症発症の関連を理解するには、「歩行機能低下がアルツハイマー病を直接引き起こす」と単純に捉えるのではなく、「血管性要因、身体活動、神経変性、生活習慣、加齢による身体機能低下などを含めた包括的な視点が必要です」と結んでいます。
なぜ歩行機能の低下は認知症発症と関連するのか? ―背景要因を整理した総説を発表―|地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 研究所サイト
SM

