看護小規模多機能(看多機)の「泊まり」が救った夫婦の在宅生活

老老介護の先にあった、夫婦の新しい日常

📖 ストーリー
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💚 看護小規模多機能型居宅介護
二人三脚のバトン

老老介護の限界——認知症の妻を一人で支える夫の孤立と不安

「おい、まさ子、そこは危ないぞ」中村勝(74)は、フライパンの焦げ付きを落としながら居間に声をかけた。妻のまさ子(71)が、所在なげに部屋の隅に立っている。アルツハイマー型認知症と診断されて3年。かつて町工場を支えてくれた妻は、今では一人で外出することも難しくなっていた。

勝自身、最近は高血圧と膝の痛みに悩まされている。何より応えるのは慣れない料理だ。自分が作った味気ない茶色いおかずのせいか、鏡を見るたび自分が痩せていくのが分かった。

「介護の相談なんて恥ずかしい……」

そんなプライドが勝を孤立させていた。しかし、先月それが限界を迎える。勝が急性腸炎で3日間入院したのだ。遠方の関西にいる息子には頼れず、近隣の住人にまさ子の様子を見てもらう羽目になった。

「ご迷惑をおかけした」という猛烈な後悔と、「もし自分が倒れたら、妻のまさ子はどうなるんだ」という恐怖が勝を襲った。

地域包括支援センターで知った「看護小規模多機能(看多機)」とは

かかりつけ医の勧めで訪ねた地域包括支援センター。そこで紹介されたのが、「看護小規模多機能(看多機)」という場所だった。

「中村さん、よく一人で頑張りましたね。ここは、通いも、泊まりも、訪問も、一つの施設で顔なじみのスタッフが対応するんです。まさ子さんの医療面の管理も、私たちがしっかり見ますよ」

見学に訪れた看多機の施設は、温かい家庭的な雰囲気だった。何より勝の心を動かしたのは、

「もし中村さんが急に体調を崩されても、ここならすぐに『そのままお泊まり』に切り替えられますからね」

というケアマネジャーの言葉だった。

通い・泊まり・訪問で変わった老老介護の日常

看多機を利用し始めて2ヶ月。週に数回、まさ子が施設に通う日、勝は自分の通院を済ませ、久しぶりに静かな時間を過ごしている。施設で栄養満点の食事を頂いているせいか、まさ子の表情も心なしか明るい。

「まさ子、今日は楽しかったか?」

迎えに来た勝に、妻はふわりと微笑んだ。自分が倒れても、妻のまさ子を守ってくれる「もう一つの場所」がある。背負い込んでいた重い荷物を半分預けたような安心感の中、勝は妻の手を優しく握りしめた。

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