夜明けのあかり
眠れない夜に、希望の光を。介護疲れに寄り添う看多機サービス
認知症の夜間徘徊・パニックで眠れない——在宅介護の孤独と限界
午前3時。世田谷の集合住宅に、また母のうつろな声が響く。「お父さん、どこ? 帰らなきゃ」藤田明美(58歳)は、重い体を引きずって布団から起き上がった。85歳になり、認知症が進んだ母。ここ最近は夜間の一人歩きやパニックが増え、明美の睡眠時間は細切れだ。定年退職して家にいる夫は、介護の大変さから目を背けるように自分の部屋に閉じこもっている。
母の手を握りながら、明美の目から涙がこぼれ落ちた。パートの仕事がある昼間も、頭はいつも霧がかかったように重い。
あぁ、私だけじゃないんだ
翌日の昼休み。職場の片隅で、明美はスマートフォンの画面をぼんやりと眺めていた。以前、地域包括支援センターのケアマネジャーから手渡されたメモを思い出し、「看多機(看護小規模多機能型居宅介護)」という言葉を検索してみたのだ。
画面に現れたのは、温かみのある優しいデザインのウェブサイト。そこには、明美の心をそのまま代弁したような言葉が並んでいた。
こんな都合のいいサービスがあるわけない……でも、読み進めるほど、言葉がひとつひとつ、胸に刺さってくる。張り詰めていた心の糸が、すっと緩むのを感じた。 「……あぁ、私だけじゃないんだ」さらに、サイトを読み進めると、看多機は「通い」「泊まり」「訪問介護」「訪問看護」をひとつの窓口で、顔なじみのスタッフから柔軟に受けられるサービスだと書かれている。
介護疲れ・レスパイトケアの悩みに応える看多機の泊まり対応
何より嬉しかったのは、母の尊厳を大切にしながら、家族の休息(レスパイト)も同じくらい重視という記載に心ひかれた。
泊まりの対応があると知ったとき、胸の奥で何かがほどけた気がした。
これなら、安心して母を預け、自分自身の健康を取り戻せるかもしれない。
サイトには「24時間安心の夜間・泊まり対応可否」や「制度活用ガイド」が整理されており、チャット風の簡単な診断UIを進めると、今の明美に必要なサポートが瞬時に表示された。
画面の下部にあるチャットボットのでの「施設見学予約・お問合せ」のボタンが、明美の背中を優しく押した。
看多機スタッフとの出会い——介護者自身の心身も支えてくれるサービス
「施設見学予約・お問い合わせ」のボタンを押した後も、明美はしばらく画面を見つめたまま動けなかった。送信ボタンを押すのに、五分かかった。
翌朝、施設の担当者から電話があった。状況をうまく説明できないまま話し続ける明美に、担当者は静かに言った。
「今、ご自身のお体の調子はどうですか?」
誰かに、自分のことを聞かれたのは初めてだった。
「私たちは、お母さまのケアと同じくらい、藤田さんのことも一緒に考えたいんです」
電話口で、明美は声を出さないようにしながら泣いた。
一週間後、母と並んで施設を訪れると、スタッフが母に笑顔で声をかけた。母がはにかんで微笑んだ。この数ヶ月、ほとんど見ていなかった顔だった。
帰り道、明美はふと思った。 (夫にも、今日のこと、話してみよう)