2025.12.03
- 看多機
遠く離れて暮らす母を思う──翔太38歳が“看護小規模多機能”にたどり着くまで
本記事はノンフィクションです。ライトノベル形式で看護小規模多機能介護サービスをご案内します。
■第1章 転倒の連絡
「……え?」
昼下がりのオンライン会議。
スマホのバイブが妙に長く震えているのに気づき、僕は焦ってミュートにした。
母が、転倒したらしい。
幸い骨折はなかったが、
電話口の母の声はいつもより少し弱々しかった。
「翔太、あんまり心配しないで。大丈夫だからね」
母はそう言うけれど、
千葉の自宅から八王子の実家までは片道2時間以上。
3歳の子どもを育てながら、月1回の帰省で見守るのが精一杯だった。
(大丈夫って言われても……どこかで限界が来る気がする)
不安が胸に刺さり、その夜はなかなか寝つけなかった。
■第2章 “もしもの時”を考える夜
翌日。
リモートワークの休憩中に、僕はふと検索を始めた。
「遠距離介護 見守り」
「母 独居 心配」
「介護サポート 八王子」
画面には多くの施設やサービスが並んでいたが、
どれも“決め手”に欠ける。
(母はまだ70歳。元気な時は散歩も買い物もできる。
けれど、また転倒したら?
急に具合が悪くなったら?
夜中だったら?)
答えのない問いだけが増えていき、
気づけば日が暮れていた。
そんなとき、地域包括支援センターのページで
ある言葉が目に飛び込んできた。
「看護小規模多機能型居宅介護」
通い・訪問・泊まり・看護が“ひとつ”になったサービス——とある。
(何だこれ……?)
クリックした瞬間、胸がざわついた。
■第3章 電話口の安心感
勇気を出して、問い合わせフォームから連絡を送った。
するとその日のうちに、施設職員から丁寧な電話がきた。
「山口様。お母様の転倒、大変でしたね。
よろしければ、今後の見守りについて一緒に考えていきましょう」
説明を聞くうちに、驚くことがいくつもあった。
・日中の「通い」は柔軟に利用可
・必要な時は「泊まり」を組み合わせられる
・体調急変時は看護師がすぐ対応
・訪問介護や訪問看護も同じチームが行う
・離れて暮らす家族とはこまめに連絡連携
(全部つながってる……?
僕みたいに“遠距離介護で不安な家族”向けじゃないか)
通いだけでなく、体調に合わせて“訪問”も“泊まり”も同じスタッフが対応する。それはつまり——
母の変化を細かく見守り続ける目が、常に身近にあるということ。
電話口の職員の柔らかい声に、
僕の肩の力はいつの間にか抜けていた。
■第4章 母と訪れた“ゆっくりの場所”
週末、母と施設見学に行った。
玄関を入ると、
アットホームな雰囲気と明るい声が迎えてくれた。
「山口様、こんにちは。お母様、こちらにどうぞ」
案内してくれたスタッフが、
母の歩くペースに合わせてゆっくりゆっくり歩く。
母は少し照れながらも、
「ここ、落ち着くわねえ」と笑った。
その笑顔を見た瞬間、
胸が締め付けられるような安堵が押し寄せた。
(ああ、ここなら……任せても大丈夫かもしれない)
通いの様子、泊まりの部屋、看護師の常駐体制。
どれも丁寧に説明してくれて、
見学が終わる頃には、母も僕も自然と気持ちが軽くなっていた。
■第5章 離れていても“つながっている”安心
利用を始めて数週間。
スタッフが送ってくれる「今日の様子」の連絡には、
母が散歩を楽しんだり、
手作りおやつを食べて笑っている写真が添えられていた。
(こんな顔、最近見てなかったな)
僕はスマホを見ながら、
同じ家にいるわけでもないのに、
母との距離が近くなった気がした。
忙しい仕事の合間でも、
「母のことを気にしながら仕事をする」
という小さなストレスが減り、
子どもとの時間にも心の余裕が戻った。
■おわりに
遠くに暮らす親が心配。
でも転居や同居は現実的じゃない。
そんな人にこそ、
“看護小規模多機能型居宅介護”は強い味方です。
✔ 日常の見守り
✔ 急な体調変化にも看護師が対応
✔ 通い・訪問・泊まりがひとつで完結
✔ 家族にもこまめに連絡
遠距離でも、ちゃんと見守れる。
あなたの不安も、少しずつ軽くなるはずです。


