2025.12.04
- グループホーム
ひとりで背負ってきた私に──“居場所”を教えてくれた場所があった
本記事はノンフィクションです。ライトノベル形式でグループホームをご案内します。
第1章 仕事の帰り道、胸の奥がずっとざわついていた
東京都大田区。
残業を終えた夜道を、松岡さやか(42歳)はひとり歩いていた。
スマホには、母から何件もの着信。
「また……」
電話を取ると
「お茶を沸かしたと思ったら忘れちゃってね……」
「今日、病院だったっけ……?」
最近、母の“物忘れ”は急激に増えていた。
さやかは独身。
きょうだいはいない。
頼れる親族も近くにいない。
家に帰るにつれて、胸の奥のざわつきは大きくなる。
(もしこのまま母の症状が進んだら、私ひとりで全部背負えるの……?)
答えはいつも、沈黙だった。
第2章 “ひとりっ子だからこそ抱える不安”と向き合う日
週末、母の家を訪ねると、
台所には焦げた鍋が置かれていた。
「ちょっと目を離しただけなのよ」
母は笑ってごまかそうとしたが、
その笑顔がかえって怖かった。
(私ひとりしかいないのに、もし火事でも起こしたら……
仕事なんて続けられない。生活も全部崩れる……)
その夜、涙が止まらなかった。
第3章 地域包括の職員がくれた言葉
翌週、地域包括支援センターを訪れてみた。
相談員は、さやかの話を黙って聞いたあと、静かに言った。
「ひとりっ子の方ほど、無理をして倒れてしまうんです。
“グループホーム”という方法も検討していいと思いますよ」
「グループホーム……?」
「認知症の方が、少人数で家庭的に暮らす場所です。
スタッフが24時間支えるので、火の不始末や徘徊の心配も減ります」
「でも……施設に入れたら、親不孝みたいで……
独身の私が頼れるのは母だけで……」
相談員は優しく首を振った。
「親を“施設に入れる”んじゃなくて、
“あなたとお母さまの生活を守るチームを増やす”んですよ。」
その言葉が、心の奥に小さな光を灯した。
第4章 見学の日──“失うのではなく、増えるもの”があった
翌週、さやかはグループホームの見学に行った。
玄関に入った瞬間、
誰かの笑い声と、お味噌汁の香りがした。
「こんにちは〜!ゆっくり見てくださいね」
明るいキッチン。
利用者がスタッフと一緒に料理をしている。
「お母さまも、できる範囲で家事を楽しんでいただけますよ」
母は照れながら、
「家事、まだできるかなぁ」と笑った。
その横顔を見た瞬間、
さやかは胸がぎゅっと熱くなった。
(あ……“守られる人”じゃなくて、“生活する人”として見てもらえるんだ)
第5章 そして私は、ひとりじゃなくなった
帰り道。
母は言った。
「ここ、落ち着くねぇ。みんな優しいし……
あんたも忙しいんだから、無理しないでいいのよ」
その言葉に、
ずっと張り詰めていた糸が、ふわりとほどけた。
“ひとりで背負わなきゃ”
そう思っていたのは、さやかだけだった。
グループホームという選択は、
母を手放すことではなく、
“母と自分の生活を守る仲間が増えること”だったのだ。
🌼 **エピローグ
──ひとりっ子のあなたへ**
もしあなたが今、さやかと同じように
✔ 親を守れるのは自分しかいない
✔ けれど、ひとりで抱えるには限界が近い
✔ 将来の不安がずっと頭から離れない
✔ 何から始めればいいか分からない
そんな気持ちを抱えているなら──
グループホームは、あなたが“ひとりで戦わなくていい場所”をつくります。
一度、見学してみてください。
あなたと家族の未来が、静かに、優しく変わりはじめます。

