2026.04.01
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高温環境下でトマト種子の発芽を強化
地球温暖化による異常気象に苦しめられているのは人間だけではありません。野菜や果物も同様です。例えば、トマトですが、「暑さが続くと種子はうまく芽を出せず、その後の成長も弱くなってしまう」そうです。特に発芽の段階はとてもデリケートで、高温にさらされると休眠状態に近くなり、温度が下がってもなかなか発芽が進まないことがあるとか。そこで、筑波⼤学⽣命環境系の研究グループは、発芽を調節するホルモンの働きを抑制する「SlIAA9」という遺伝子に着目。「高温環境下において、この遺伝子が働かない2種類の変異体と、野生型のトマトについて、種子がどのように発芽するのかを詳しく観察した」といいます。その結果、「野生型のトマトは高温後に発芽率が大きく下がり、芽や根が短くなる、苗の形が崩れるなどの異常が見られた一方で、SlIAA9 が働かない変異体は、高温にさらされても発芽率がほとんど下がらず、苗の形の異常も少ないことが分かった」と述べています。また、変異体では、高温で増えやすい活性酸素を取り除く酵素や、細胞を守る「HSP70」などの遺伝子が強く働いていたことがわかったそうです。さらに、「発芽を止める方向に働くABAというホルモンの反応が弱まり、発芽を助けるエチレンに関わる遺伝子がよく働くこと」も明らかになったとか。つまり、こうした違いが、高温でも発芽しやすくなる理由だと述べています。本研究グループは、「これらの知見は、暑さに強いトマト品種を作るための新しいヒントになります。SlIAA9 の働きを調整することで、さらに気温が高い環境でも安定して育つ作物作りに貢献できると期待されると述べ、「今回明らかになった⽣理的メカニズムは、トマト以外の作物にも適用できると考えられます。また、品種改良だけでなく、種⼦処理技術やストレス耐性向上の分⼦制御技術への応用の可能性もあります。今後さらに、気候変動により高温が常態化する農業環 境における安定した発芽と苗の定着の実現に向けた研究を進めます」と結んでいます。
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20260325140000.html
SM

