2026.03.04
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社会的孤立と遺伝的背景
人とのつながりは同じ地域や職場にいても、家族や友人とのつながりの広がり方には個人差がみられるとの考えから、その背景にどのような要因が関連しているのかを検討するため、日本の一般住民6万人以上を対象に、遺伝情報を用いた大規模な解析を行った、と発表したのは東北大学東北メディカル・メガバンク機構分子疫学分野の研究グループです。本研究では、家族や友人との実際のやり取りの頻度や人数を質問票で数値化し、その情報と数百万か所に及ぶ遺伝情報を統計的に照らし合わせるゲノムワイド関連解析を行うことで、社会的孤立との関連を網羅的に探索したといいます。その結果、「社会的孤立と関連する遺伝的特徴が見いだされ、脳や神経の働きと関係することが知られている遺伝子の関与が示唆された」と述べています。一方で、社会的孤立にみられる個人差の大部分は遺伝以外の要因によって説明できることもわかったといいます。つまり、遺伝の寄与の度合いは小さいものの環境要因だけでなく、生物学的な個人差の関与があることが明らかとなったと述べています。本研究では、気分の落ち込みとしての「寂しさ」ではなく、実際に人と会う・話す・ 支え合うといった行動や環境としての社会的孤立に着目。つまり、 「どう感じているか」ではなく、「どのような人間関係の中に置かれているか」 を測定することを目的としたそうです。 例えば、「月に 1 回以上やり取りする親族や友人は何人いるか」「困ったときに頼れる相手が何人いるか」など、 実際に存在する社会的つながりの数やその機能を評価。この尺度は、 主観的な感情よりも、生活環境や社会構造に近い側面を捉えることが特徴だとか。本研究グループは、今後、「今回同定したゲノム領域が、脳や神経系の どの細胞や機能とどのように関係するのかを明らかにすること」、「社会的孤立と精神的健康、身体疾患との関連を、遺伝情報を手がかりに因果的に検討すること」、そして、「孤立が健康に及ぼす影響を理解すること」に取り組み、「社会的には、遺伝的背景と環境要因を組み合わせることで、孤立のリスクが高い人を早期に見つけ出し、その人の特性(家族関係が希薄になりやすいのか、友人関係を作りづらいのかなど)に合わせたきめ細やかなサポートを行い、「環境改善や社会的 支援と生物学的理解を結びつけ、孤立による健康悪化を予防・緩和する実証的研究へと発展させることが求められる」と結んでいます。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/03/press20260302-02-isolation.html
画像はプレスリリースから引用させて頂きました。
SM

