2025.12.10
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ヤングケアラーのポジティブ・ネガティブ両面の感情とは
高齢化社会において、家族の介護や世話を担うヤングケアラー(家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者のこと)が増加しているといいます。ただ、そのヤングケアラーが感じている心の負担や感情への影響は、まだ十分に明らかになっていないとの観点から、大阪公立大学大学院経済学研究科らの研究グループは、「ヤングケアラーの心理や感情にケア負担がどのように影響するかを明らかにするため、全国の15~19歳のヤングケアラーを対象に、2021年(コロナ禍)と2024年の2回にわたってアンケート調査を実施した」そうです。その結果、ケア負担が大きいヤングケアラーほど高いストレスを抱える傾向がある一方で、達成感や誇りといったポジティブな感情も併せ持っていることが明らかになったといいます。特に、二回目の調査では、ケア経験によるポジティブ・ネガティブ両面の感情が2021年よりも強く表れたとか。なぜなら、「ヤングケアラーへの理解や支援が社会に広がり、彼ら自身が自分の役割を前向きに受け止めるようになってきた」からだと述べています。本研究の結果から、「ヤングケアラーのケア経験にはポジティブな側面とネガティブな側面の両方が存在することを踏まえた上で、個々の状況に応じた支援の構築が重要であることが示唆された」と述べ、具体的には、「介護技術の指導やピアサポートに加え、感情的サポートや学業上の配慮など、多面的な支援体制の整備が求められる」という事です。加えて、パンデミックなどの危機的状況下においては、孤立を防ぎ、メンタルヘルスケアや直接的サポートを継続的受けられる環境を保障する政策的措置が不可欠であるとも述べています。本研究グループは、「ヤングケアラーという存在が社会に広く認知され、彼らがより適切な支援を受けられる環境づくりに、本研究が少しでも貢献できれば幸いです」と結んでいます。
10代が背負う介護の現実とは?心理的影響を全国調査で明らかに|大阪公立大学
