港区立高輪いきいきプラザ

2025.11.12

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都市化で餌を変えてサバイバルするスズメバチ

日本に生息するスズメバチは6種類います。中でもオオスズメバチは世界最大のスズメバチで、攻撃性、毒の量いずれも最強だそうです。一方、キイロスズメバチは、私たちの生活圏によく巣を作ることで知られ、一方コガタスズメバチの外見はオオスズメバチに似ていて、近年、都市部ではキイロスズメバチの方が目立つようになってきているとか。巣は開放空間に作り、よく庭木に作るため、人への被害が多いハチであると言われています。さて、本題ですが、神戸大学大学院人間発達環境学研究科と九州大学理学部生物学科の共同研究グループは、「都市化する環境に適応する2種のスズメバチ(コガタスズメバチおよびキイロスズメバチ)の餌選択に与える影響をDNAメタバーコーディング法により詳細に解析し、都市環境下において両種が異なる適応戦略を示すことを明らかにした」と発表しました。実は、環境の都市化によってこの二種類のスズメバチの採餌行動などがどのような影響を受けているのか十分に解明されていなかったそうです。そこで、本研究グループは20238月から9月に採集したコガタスズメバチおよびキイロスズメバチの幼虫の腸内容物をDNA解析し、高解像度の土地利用データと組み合わせて解析を行なったところ、コガタスズメバチは、都市環境では非都市環境と比較して餌の種類が大幅に異なったといいます。それも低価値な餌とされる硬い外骨格を持つコウチュウ目やハチ目昆虫を多く捕食するように変化しており、都市部で入手しやすい餌資源に適応し、変化させる戦略をとっていることが示唆されたそうです。一方のキイロスズメバチも都市部と非都市部で餌組成が変化していましたが、コガタスズメバチよりもその変化は小さく、柔らかくて資源価値として高いと言われる鱗翅目昆虫(チョウ・ガの仲間)を継続して捕食していたそうです。本研究グループは、「今後は季節変動を含む長期的な調査が必要です。また、餌生物の利用可能性と選好性を分離するための調査や、行動観察データとの統合により、包括的な採餌生態の解明が期待されます。さらに、他の地域や種を含む比較研究により、都市化に対する捕食者の応答パターンの一般化が可能となり、変化する環境下での生物群集の予測や保全戦略の構築に貢献していきたいと考えています」と結んでいます。

都市化で餌を変えながら生きるスズメバチの実態をDNA解析で解明 | 神戸大学ニュースサイト

画像はプレスリリースから引用させていただきました。

SM

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