2025.11.12
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感情と覚醒をつなぐ新たな神経系路とは?
ストレスによる睡眠障害を引き起こす可能性のある神経経路が、感情と覚醒をつなぐ新しい神経経路として、興奮性ニューロンを介して覚醒を誘発することを明らかにした、と発表したのは筑波大学医学医療系/筑波大学高等研究院(TIAR)国際統合睡眠医科学研究機構の研究グループです。実は、感情を司る脳の扁桃体やその周辺構造が覚醒に関与することは知られていましたが、その具体的な神経メカニズムはよく分かっていなかったそうです。本研究では、「脳の扁桃体の延長部にあたる分界条床核(BNST)のGABAというアミノ酸を神経伝達物質とするニューロン(GABA作動性ニューロン)が、中脳の深中脳核(DpMe)に存在する興奮性ニューロン(グルタミン酸作動性ニューロン)を介して、睡眠中のマウスを瞬時に覚醒させる神経経路を発見した」と述べています。つまり、このGABA作動性ニューロンを刺激すると、「ノンレム睡眠中のマウスが即座に覚醒し、その際DpMeニューロンの活動が急上昇することを観察。さらにDpMeのグルタミン酸作動性ニューロンを選択的に除去すると、この覚醒反応が著しく減弱した」とのことです。本研究グループは、「これらの結果は、精神的な刺激(恐怖やストレスなど)が睡眠を中断させる神経基盤を初めて明らかにするとともに、ストレス関連の不眠症や気分障害の治療標的の発見につながるだろう」と結んでいます。
感情と覚醒をつなぐ新たな神経経路を発見 | 医療・健康 - TSUKUBA JOURNAL
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM

