港区立高輪いきいきプラザ

2025.11.05

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失った声を取り戻す

「失った声を再び取り戻すアルゴリズム」を開発した、と発表したのは慶應義塾大学理工学部及び同大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室の研究グループです。「口元の動画だけで、過去の『自分の声』によるスムーズな会話を実現した」と述べています。実は、喉頭全摘出術ないし咽喉頭頸部食道摘出術後の患者は音声を喪失してしまいます。そこで、代用音声として近年AI合成音声が用いられるようになってきているそうです。ただ、その会話の精度は単語レベルでは比較的高い精度を得ているものの、実際の会話レベルになると途端に認識のレベルが低下するといいます。そして、多くのシステムではAIで合成した音声を使用する際には文章を機器に入力する必要があり、その操作性や会話におけるタイムラグは臨床応用していくうえで解決すべき課題と考えられてきたそうです。今回の研究では、「患者の過去のわずかの声に関する音声データや情報さえあれば、その情報を元に、患者本人の声でスムーズに会話できるアルゴリズムを開発し、その有効性を検証した結果、単語レベルにおいて、リアルタイムで90%以上の識別率が得られたほか、文章でも80%以上の識別が行えるようになった」ということです。今後は、実際の患者に広く導入し、医療現場で利用が促進されることで、QOL向上に繋げたいと述べています。また、「摘出後以外の音声言語障害にも応用できる可能性があり、吃音、場面緘黙、機能性発声障害といった幅広い患者のQOL向上にも寄与できるだろう」と結んでいます。

失った声を再び取り戻す-口元の動画だけで、過去の「自分の声」によるスムーズな会話を実現-:[慶應義塾]

画像はプレスリリースから引用させていただきました。

SM

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