2025.10.29
- ニュース
喘息などのアレルギー疾患が悪化する仕組みを解明
私たちにとって不可欠な「免疫」には、ウイルスや細菌などの病原体を排除する「1型免疫」と、ダニや花粉などに反応する「2 型免疫」があるそうです。で、2型免疫を司っているのが「Th2 細胞」。一方で、喘息などのアレルギー疾患の患者では、病気が悪化する原因となる「病原性Th2細胞」が体の中に出現するそうですが、その誘導機構は不明であったといいます。そこで、千葉大学大学院医学研究院及び横浜市立大学大学院医学研究科 らの研究グループは、「アレルギー性炎症を悪化させる病原性Th2が、免疫細胞が持つ『脂肪滴を分解して再利用する仕組み』によって誘導されることを明らかにした」と発表しました。因みに、脂肪滴とは、細胞中に存在する脂質やタンパク質などを含む球形の液滴のことです。ともあれ、本研究では、炎症が生じている組織で免疫細胞が特定の脂肪酸を取り込んで「燃料」として蓄え、それを少しずつ分解(燃焼)することで、自ら喘息などの症状を悪化させる細胞に変貌するというメカニズムを解明したことで、既存のステロイド治療や生物学的製剤では十分に抑えられなかった喘息や好酸球性副鼻腔炎などの難治性アレルギー疾患に苦しむ患者に対して、これまで以上に治療の選択肢を広げる一歩になるだろうと述べています。本研究グループは、「今後、脂肪分解経路を標的とした新たなアレルギー疾患の治療法の開発が期待されます」と結んでいます。
喘息などのアレルギー疾患が悪化するメカニズムを解明~脂肪分解経路を標的とした新たなアレルギー治療薬の開発に向けて | 国立大学法人 千葉大学|Chiba University
SM

