港区立高輪いきいきプラザ

2025.10.22

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思い出を選んで残すメカニズムとは?

私たちは日々様々なことを目にし、聞き、感じ、そして記憶していますが、その全てが思い出として残るわけではありません。特に衝撃的な出来事や強烈なインパクトを受けた経験は記憶に残りやすいことはよく知られており、こうした記憶は長期的な行動や心理状態に強い影響を与えると言われています。しかし、脳がどの体験を選び、定着化して残すのか、その仕組みは十分に解明されていないようです。そこで、理化学研究所(理研)脳神経科学研究センターグリア-神経回路動態研究チーム及び九州大学生体防御医学研究所の共同研究グループは、「強い印象のある出来事はよく覚えている」「繰り返したことは忘れにくい」といった身近な現象について、その背後にある脳の仕組みが、神経細胞ではなく、その隙間を埋めるアストロサイトという意外な細胞によって支えられていることを発見した、と発表しました。当プレスリリースの説明によると、アストロサイトとは、「グリア細胞の一種で、100年以上前の顕微鏡技術で星型(アストロ)の細胞(サイト)に見えたことから命名された」そうで、脳組織の恒常性や代謝機能の調節も担うそうです。加えて、グリア細胞ですが、「脳の中に存在する神経細胞以外の細胞で、神経伝達の調節や神経細胞の保護、ダメージを受けた細胞の除去などを担う、脳の健全性を保つ上で不可欠な細胞である」ということです。今回の研究では、「アストロサイトというグリア細胞の一種が、強い感情を伴う体験を、その後数日間にわたって分子レベルの『痕跡』として残し、2回目の体験時にそれを記憶として選び取り定着させる『安定化スイッチ』として働くことを初めて明らかにした」ということです。本共同研究グループは、「記憶を選別し安定させる仕組み」は、「記憶を和らげる」あるいは「選んで残す」といった治療に応用できる可能性があり、医療や社会への波及効果も期待されます、と述べています。

思い出を「選んで残す」メカニズムを解明 | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY

 画像はプレスリリースから引用させて頂きました。

SM

 

 

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