2025.10.22
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食生活と慢性疼痛の深い関係
「炎症を促進する食事摂取パターンを有する高齢女性は、慢性疼痛を抱えている割合が高いことを明らかにした」と発表したのは、東京都健康長寿医療センター研究所の研究グループです。さらに、慢性疼痛の背景には慢性炎症(軽度な炎症反応が長期間続く状態)が関与している、とも述べています。なぜなら、炎症が持続すると炎症性の物質が神経を刺激して、痛みの感じ方を強めたり、長引かせたりするそうです。では、体に炎症を起こしにくい、あるいは起こしやすい食事摂取パターンとはどのようなものでしょうか?当プレスリリースによると、起こしやすいのは糖分や飽和脂肪酸を多く含むもの、炭水化物、加工肉だそうです。一方、野菜や果物、食物繊維は炎症を抑制する食材と考えられています。実は、食生活が体の炎症に与える影響を客観的に評価する指標として、「食事性炎症指数」という指標が開発されていて、食事全体が炎症をどの程度促すか、あるいは抑えるかをこの指数が示してくれるそうです。本研究グループによると、今までは高齢者の「炎症誘発性の食事パターン」と「慢性疼痛」の関連を調べた研究は限られていたそうです。今回の研究では、多くの高齢者にアンケート形式で食事内容を回答してもらい、摂取している食事や栄養素の情報と照らし合わせて、食事性炎症指数を算出しました。そこで、慢性疼痛との関連、あるいは抑うつの有無を検討した結果、炎症誘発性の食事パターンである女性は、男性よりも慢性疼痛を有する割合が高いことが判明。特に80歳以上の女性グループでは、その二つの因果関係が高くなっていることが明らかになったといいます。それは抑うつ傾向も同様の結果だったとか。本研究グループは、これまで慢性疼痛へのアプローチとして、薬物療法、心理的介入、リハビリ、運動療法などが挙げられていましたが、それらに加えて栄養呼び食事面からの新たなアプローチもまた、その予防と軽減に有効であるだろう、と結んでいます。
<プレスリリース>炎症を促す食事を多く摂る高齢女性は、慢性的な痛みを抱えている割合が高いことが明らかに|研究成果|地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM

