港区立高輪いきいきプラザ

2025.10.01

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がん細胞を転移と誘う共犯者は誰だ?

 「なぜ、ある患者のがんは転移し、別の患者は転移しないのか」この疑問に、弘前大学大学院医学研究科の歯科口腔外科学講座ら、およびテキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターゲノム医療科を中心とする国際共同研究グループは、「この謎を解く鍵が、がん細胞の『共犯者』の存在にあることを突き止めた」と発表しました。実は、がん細胞の周囲には、がん関連線維芽細胞という細胞が存在し、この細胞はがんの進行を助けることもあれば、邪魔をすることもある、謎めいた存在だったとか。本研究チームは、組織内の遺伝子の働きを“地図”のように可視化できる最新解析技術を駆使し、特に悪性度の高い口腔がんでは、「筋線維芽細胞様(きんせんいがさいぼうよう)」というタイプのがん関連線維芽細胞が“共犯者” として活性化し、がんが正常組織に進展していく最前線で、がん細胞と隣り合わせに潜んでいる「犯行現場」を発見した、と述べています。なんと、この共犯者は、がん細胞に「もっと動け、もっと強くなれ」という分子の信号を送っていたことを突き止めたそうです。そして、この信号を受け取ったがん細胞は、転移能力の高い性質(がん幹細胞性)を獲得し、リンパ節に転移していくというメカニズムを解明したということです。加えて、この“犯行現場”から「犯人の指紋」とも言える、23個の遺伝子の特徴的なパターン(遺伝子シグネチャー)を発見したといいます。本研究では、この指紋(23個の遺伝子)を調べることで、将来、患者さんのリンパ節への転移リスクや生命予後を高精度で予測できる診断ツールや、この“共犯関係”そのものを断ち切る新しい治療薬の開発が期待できると結んでいます。因みに、口腔がんの主な危険因子は、喫煙と過度の飲酒。加えて、適合の悪い入れ歯などによる慢性的な刺激も、原因の一つと考えられています。当プレスリリースでは、「2週間以上治らない口内炎があれば、かかりつけの歯科医院の受診をご検討ください」とアドバイスしています。

がん細胞を転移へと誘う“共犯者” (accomplice)を発見 -口腔がん転移の“地図” (Spatial Map)を作成し、個別化医療へのを拓く- - 弘前大学

画像はプレスリリースから引用させて頂きました。

SM

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