港区立高輪いきいきプラザ

2025.09.29

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「シェーグレン病」ってどんな病気?

「シェーグレン病」という病名を聞いたことはありますか?この病気は、「主に涙腺や唾液腺などの外分泌腺が自己の免疫細胞によって攻撃され、 ドライアイ(目の乾燥)やドライマウス(口の乾燥)を引き起こす自己免疫疾患」だそうです。日本国内には10万人~30万人の患者がいると推定されていますが、根本的な治療法はまだ確立されていません。さて、このシェーグレン病が「自己抗体の違いで病態が異なることを解明した」と発表したのは、慶應義塾大学医学部内科学教室(リウマチ・膠原病)らの研究グループです。具体的には、患者が持つ自己抗体の種類によって唾液腺での免疫反応や炎症のメカニズムが異なることを、1細胞レベルの解析で明らかにしたと述べています。当プレスリリースによると、「我々の体には抗体と呼ばれる物質が血液中に流れており、外から侵入してきた細菌やウイルスに対して結合し、免疫細胞と協力してこれらを攻撃することで、健康を保っている」とのことですが、シェーグレン病の患者は、「自己抗体」と呼ばれる、自分自身の体を標的とする抗体を持っているとか。代表的な自己抗体として「抗SSA抗体」や「抗セントロメ ア抗体」があり、どちらの抗体を持つかによって、関節炎や皮膚症状といった症状が異なることが知られていました。ただ、なぜ自己抗体の違いが症状の違いを生むのか、その根本的なメカニズムは解明されていなかったと言います。そこで、本研究では、異なる自己抗体を持つシェーグレン病の患者と、これらの自己抗体を持たない乾燥症候群の計38症例の患者から、唾液腺の組織を提供してもらい、最新の解析技術を用いて病気のメカニズムを分子レベルで比較したそうです。その結果、シェーグレン病という一つの病気の中に、自己抗体の種類に関わらず共通して存在する細胞群と、自己抗体の種類によって異なる分子メカニズムが存在することが明らかになったと述べています。本研究グループは、「今後もこれらの知見を基に、シェーグレン病をはじめとする自己免疫疾患の病態解明と、患者の生活の質を向上させる新たな治療法の開発を目指して研究を進めていきます」と結んでいます。

根本的な治療法のないシェーグレン病、自己抗体の違いで病態が異なることを解明-患者さんごとの個別化医療(プレシジョン・メディシン)実現に道-:[慶應義塾]

画像はプレスリリースから引用させて頂きました。

SM

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