2025.09.29
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「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」とは?
飛行機の旅で「乱気流」に巻き込まれて怖い思いをした体験のある方は少なからずいるはずです。東北大学および日本航空らの研究グループが発表したプレスリリースによると、「晴天乱気流は、晴れた空の高いところで発生し、視覚的な兆候がほとんどない」そうです。しかも、「レーダーでは捉えられないため、予測が難しく、航空機やその乗員、乗客に危険を及ぼす可能性がある」とのこと。実際、近年の国内航空事故の約55%が乱気流に起因しており、地球温暖化の影響により、過去40年間で晴天乱気流の発生頻度が55%も増加しているそうです。そこで、本研究グループは「既存の予測システムは広範囲での更新頻度が低く、変化する空の状況に十分に対応できていない」という点を踏まえて、「地球規模の気象データ(全球数値予報)や特定地域の詳細解析(高解像度気象解析)に加え、飛行中の航空機から取得されるリアルタイムデータ(フライトデータ)を統合的に活用し、さらに、機械学習を用いて情報を統合することで、実用レベルのAI統合型リアルタイム乱気流予測システムを構築する」とのことです。本研究により、「国際線での運航のように飛行中に大気条件が変化するような長時間先の予測や、便数が少ない地域(海上など)でも高精度で最新の乱気流予測情報を提供することが可能になる」と述べています。加えて、「このことで乱気流の予測精度とリードタイムを向上させ、安全水準を引き上げるとともに、高度変更や余剰燃料搭載を抑制できる可能性があり、結果として、燃料費の節減やCO₂排出削減という環境・経済面の効果も期待される」と結んでいます。因みに、このプロジェクトは2024年12月より開始し、この度、国土交通省の「交通運輸技術開発推進制度」に採択されたとのこと。2027年以降の社会実装に向けて航空運航の安全性向上と環境負荷低減の実現を目指しています。
航空機の安全性を革新する「リアルタイム乱気流予測プ... | プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM