港区立高輪いきいきプラザ

2025.09.26

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ヒト細胞を使ったサルコペニア再現モデルとは?

高齢化に伴い、進行すると言われている「サルコペニア」。転倒、骨折、寝たきり、さらには死亡リスクの上昇と深く関わる老年症候群の一つですが、その発症メカニズムは未解明な点が多いと言います。加えて、これまでの研究の多くは、マウスなどの動物モデルを用いて行われた実験のみ。免疫応答や代謝、筋線維構成におけるヒトとの違いから、臨床応用には限界があったそうです。そこで、国立長寿医療研究センター運動器疾患研究部の研究グループは、「ヒト細胞を使ったサルコペニア再現モデルを開発した」と発表しました。つまり、ヒト由来の細胞を使い、体の外で再現した新しい実験モデルを構築した、という訳です。本研究では、「ヒト間葉系幹細胞に細胞老化を引き起こす処理を行い、それらが分泌するSASP(老化した細胞が分泌する炎症性物質や酵素、サイトカインなどの総称)を、ヒト筋芽細胞から分化させた筋管(成長中の筋肉のもと)に添加することで、筋管直径が有意に縮小する現象を確認し、ヒト筋肉の老化に繋がる現象を、体の外で行う培養実験で再現することに成功した」と述べています。本研究グループは、「今後は、このヒト型モデルを活用した創薬スクリーニングや、バイオマーカー候補の探索など、臨床応用を見据えた研究の加速が期待される」と結んでいます。

ヒト細胞を使ったサルコペニア再現モデルの開発 ― 発症の仕組みを解明し、治療につながる候補物質を見出しました ― 国立長寿医療研究センター

画像はプレスリリースから引用させていただきました。

SM

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