2025.09.26
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オスのクジラはなぜ力強く歌えるのか?
クジラが歌を歌うのは「求愛行動」つまり繁殖行動のためだと言われていますが、歌うのはオスで、その歌声の複雑さを支えているのが「咽頭嚢」という器官だとか。この器官は喉の空気の通り道にある袋状の構造で、声帯に相当するそうです。ヒトをはじめ多くの哺乳類は、肺から送られた空気を声帯で振動させ、さらに口腔でさまざまに共鳴させることで複雑な「声色」を作っていますが、水中で暮らすクジラの場合、空気の利用に制限が多く、同様の発声メカニズムによる長時間の発声や音の操作は困難なため、上述の「咽頭嚢」をうまく活用して歌うことを可能にしているそうです。さて、前置きが長くなりましたが、東京海洋大学の研究チームは、「ミンククジラ(ヒゲクジラ類)の喉にある喉頭嚢に明確な性的二型(オスとメスでの形態差)があることを明らかにし、成熟オスは喉頭嚢が著しく発達しており、繁殖期に特徴的な鳴音の発生・変調に重要な役割を果たしている可能性が示された」と発表しました。つまり、歌うのが可能なほど「体積・筋肉の厚さ・深さ・重量のいずれも著しく発達していた」と述べています。本研究グループは、今回の研究は「ヒゲクジラの音声コミュニケーションと性選択の関係を解明する重要な一歩です。 将来的には、解剖学的知見と音響観察をつなぐことで、鯨類の生態解明や保全研究への応用も期待できるだろう」と結んでいます。
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画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM