2025.09.17
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自己接触行動って何?
自分の顔や体の一部に触ることを「自己接触行動」と呼ぶのだそうです。これまでは緊張や不安をやわらげる行動とだけ考えられてきましたが、実は「言葉を思い出すことを助けていることがわかった」と発表したのは、早稲田大学人間科学部学術院らの研究グループです。本研究では、「成人を対象に、ことわざや四字熟語の定義を問い、それに対応する言葉(ことわざ・四字熟語)を答えるという課題を実施した」とか。その結果として、自己接触(頬に手を当てる)をしながら課題に取り組んだ参加者は、手の動きを抑えるように指示された参加者よりも正答数が多い結果となったそうです。これは、顔を触る動作が、特定の課題に対する注意制御に役立っていることを示唆している、とも述べています。ただ、今回の研究では、参加者は若年成人に限られており、年齢や文化の違いによる影響は明らかになっていないこと、また、ことわざや四字熟語といった特定の刺激を用いたため、日常会話にそのまま当てはまるかどうかには検討の余地があることなどの課題が残ったと言います。加えて、高齢者や子どもを対象とした研究、より自然な会話場面での検証が必要であるとも。本研究グループは、「脳活動の計測などを組み合わせることで、自己接触行動がどのように注意や記憶を支えているのかを解明できると考えられます。こうした研究の積み重ねにより、教育や高齢者支援など社会的応用の可能性が広がると期待されます」と結んでいます。
自分の身体を触ることが言葉探しを助ける – 早稲田大学 研究活動