2025.09.17
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気候変動と救急医療サービスの最適化
深刻化する気候変動による異常気象が続く中、高齢者は暑さの影響を受けやすく、熱中症などの健康被害が増加傾向にあるそうです。そのため、特に都市を中心に救急医療の需要が増加しており、今後の医療体制に及ぼす影響について、科学的に評価する必要性が高まっています。そこで、長崎大学・東京大学・国立環境研究所は、「共同研究により日本全国を対象に2099年までの救急搬送需要を推計した」と発表しました。具体的には、「日本全国の65歳以上の高齢者を対象に、救急搬送件数の将来の動向と季節性の変化を、人口動態および気候変動の影響を考慮して2099年まで予測」。予測にあたっては、消防庁、気象庁、総務省統計局などの公的データに加え、複数の将来人口および気候シナリオを用いて、都道府県別・季節別に評価したとのことです。その結果、「救急搬送件数は2040年代にかけて約15%増加(2010年代比)。年間救急搬送件数は2040年代まで増加し続け、そこでピークを迎える。その後は、人口減少の影響を受けて、年間件数は横ばいまたは減少。一方で、人口あたりの年間救急搬送発生率が、すべてのシナリオにおいて2090年代まで増加すること」を明らかにしたといいます。すなわち、気候変動と人口高齢化のもとで、救急搬送需要が「いつ・どこで・どの程度」増加するかが分かったそうです。そして、今後の医療資源の再配分と、早期かつ計画的な対応、そして長期的な視野に立った対策検討が不可欠であると述べています。本研究グループは、「今回の研究の成果は、気候変動と人口高齢化が進む中で、救急医療サービスを最適化するためには、開発戦略と季節間の資源配分を慎重に検討する必要があることを示しています」と結んでいます。
高齢化と気候変動が救急医療体制に及ぼす将来的影響を日本で初めて統合的に予測・評価 ~長崎大学・東京大学・国立環境研究所の共同研究により、日本全国を対象に2099年までの救急搬送需要を推計~|長崎大学
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM