2025.09.12
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見えない刺激が過去の学習を強化する?
「見えない刺激が過去の学習を強化する新たな脳の仕組みを発見した」と発表したのは、理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター人間認知・学習研究チームらの国際共同研究グループです。具体的には、次のように説明しています。「ヒトの学習に関する研究では、新しい学習がそれまでに培った学習を損なってしまう現象が知られていました。例えば、イタリア語を練習した直後にスペイン語を練習すると、二つの学習が干渉し、イタリア語の学習効果が見られなくなってしまうことがある」というように。この過去に向かって逆向きに起こる干渉を「逆向干渉」というのだそうです。本研究では、「学習対象が『意識的に知覚できない』くらい弱い場合には、二つの学習は干渉せず、逆に強化が起こることが明らかになった」といいます。つまり、新しい学習が過去の学習を促進するというのです。このことを「逆向促進」と呼ぶそうです。今までの研究では、「新たな学習が以前の学習を損なう」という干渉をいかに避けるかが注目されてきましたが、「場合によっては新しい学習が前の学習を促進・強化する可能性」についてはほとんど調べられてこなかったとか。本研究は、この可能性を検証することを目的に行われたそうです。そして、「意識にのぼらない新しい学習刺激は、古い学習を促進する場合があること」を示したといいます。なぜなら、神経科学の知見から、前頭皮質の一部が「意識的に知覚された情報」に対して抑制的に働く一方、「意識にのぼらない情報」はその抑制を受けず、結果的に過去の学習を助けるという訳です。本研究グループは、「この発見は、学習同士の相互作用に『意識の有無』が重要な役割を果たしていることを示唆し、より効率的な学習・練習法の開発に寄与するなど、教育、スポーツ、リハビリといった多様な分野への応用が期待される」と結んでいます。
画像はプレスリリースから引用させて頂きました。
SM