2025.09.10
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単純ヘルペスウイルス1型の新たな治療法とは
広島大学大学院医系科学研究科らの研究グループは、「『Pin1』という酵素を阻害することで、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の増殖を強力に抑制することを明らかにした」と発表しました。実は、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は極めてありふれたウイルスで、ストレスや疲労、また免疫力が低下すると発症し、ときに再発を繰り返します。このウイルスに対する既存の治療薬は、飲み薬にせよ塗り薬にせよ、ウイルスそのものの働きを直接阻害するものなのですが、ひとたびウイルスが治療薬に対して耐性をもってしまうと効果が期待できなくなってしまいます。そこで、本研究では、「Pin1」に注目。当プレスリリースによると、「Pin1」は人の細胞がもっている酵素の一種。実は、ウイルスは自分だけで増殖することはできず、人の細胞の仕組みを借りることで増殖するそうです。この時、ウイルスの増殖には「Pin1」が必須であることが知られていたとか。そこで、「Pin1」をつくりだす遺伝子をノックダウン(遺伝子の働きを弱めること)し、細胞内の「Pin1」を減らしたところ、ウイルスの増殖を大きく抑えることに成功した、と述べています。本研究の成果は、「宿主因子を標的とすることで薬剤耐性化を回避し、ヘルペスウイルスのみならず多様なウイルスに有効な新しい抗ウイルス戦略につながることが期待できる」と結んでいます。
【研究成果】ストレス時や免疫低下時に増殖するヘルペスウイルスを、 薬剤耐性なく強力に抑制する方法を新たに発見 ~B型肝炎等の多くのウイルスに効果的な治療法の確立に向けて~ | 広島大学
SM