2025.09.10
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黒潮大蛇行と水蒸気輸送と気象異常
近年の異常気象と黒潮の大蛇行には深い関係があると言われています。そもそも、この黒潮の大蛇行とはどのようなものなのでしょうか。9月4日付東京新聞「みんなの科学」の記事によると、「世界最大級の海流で幅は約100キロ、流れは速いところで秒速2メートル以上、運ばれる海水は毎秒約54万トン」なのだそうです。そして、東海から関東沿岸に近づくと海水温が高めになるとか。因みに気象庁は今年5月黒潮大蛇行の終息を宣言。2017年から7年9カ月継続したことになります。さて、本題ですが、この夏関東や東海で猛暑が続き降水量が増えた原因について、東北大学の杉本周作准教授(海洋物理学)は、上述の記事の中で、黒潮大蛇行によるものだと、過去の気温や降水量のデータ解析の結果、断言しています。特筆すべきは、海面温度が平均で約3度上昇し、陸上の気温も上昇。その結果、降水量は過去30年の平均と比べて50%多かったといいます。こうした現象の要因として挙げられるのが「水蒸気輸送」。当記事によると、「東海沖には一貫して暖かい海水が流れ込み、沿岸海域の蒸気が活発化」したためだとか。この増えた水蒸気が南風に運ばれて局所的な温室効果を生むのだそうです。通常、夜になると放射冷却で温度が下がるはずなのですが、この水蒸気がその冷却を妨げていたとのことです。従って、降水量が増えるのは明白。つまり、「黒潮大蛇行が近年の異常気象の一因である」と述べています。当記事は、「海を理解すれば、陸の変化も分かる」と結んでいました。
SM