2025.09.03
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がんも暑さ対策?
金沢大学がん進展制御研究所及び大阪大学大学院情報科学研究科らの研究グループは、「バイオテクノロジーと情報技術を融合させることで、がん細胞のエネルギー代謝の流れを計測し、 コンピュータ上で正確に予測できる技術を世界で初めて開発した」と発表しました。がん細胞は、活発な増殖に必要な多量のエネルギーを、細胞内のがん特異的代謝(がん細胞は正常細胞とは異なる代謝を行うこと)経路で獲得していているそうです。しかし、エネルギー生産効率が低い不合理な代謝経路を、なぜがん細胞があえて選択しているのかは不明だったとか。本研究では、 開発した技術を用いてがん細胞の代謝を解析したところ、「細胞内の過剰な代謝熱の発生を回避していることが示唆された」と言います。つまり、がん特異的代謝の役割の一つが、暑さ対策であることを示したそうです。この知見から、正常細胞ががん細胞へと変化する新たなシナリオを描くことが可能となったといいます。すなわち、当プレスリリースは次のように説明しています。「正常細胞ががん細胞に変化する時には、多量のエネルギー (ATP)が必要となります。正常細胞と同じ経路でATPを供給すると、熱が生成しすぎて、オーバーヒート状態 となります。つまり、がん 細胞は多量のエネルギー生成効率が低く、熱生成が少ない経路を用いることで、オーバ ーヒートを回避している」ということが分かったそうです。本研究グループは「代謝解析技術の開発を通して、長年の謎であったがん細胞がエネルギー獲得効率の悪い代謝を行う理由に新たな説を提示できたこと、嬉しく思います。本技術は、がん細胞以外の様々な培養細胞の解析にも応用可能なので、多くの研究の発展に貢献できるよう異分野融合を進めていきたいと考えています」とコメントしています。
画像はプレスリリースから引用させて頂きました。
SM