2025.08.13
- ニュース
遅筋の特性を持つ培養筋肉の作製に成功
筋肉には、大別すると「速筋と遅筋」とあり、一つの筋肉の中に含まれている繊維のことだそうです。遅筋を運動させるためには酸素の他、糖や脂質を燃焼させてエネルギー源として多く使うのが特徴だとか。体のバランスや姿勢の保つことに重要とされており、体の内側にあるインナーマッスルに多く含まれているようです。さて、本題ですが、「日常動作や持久的活動に重要な『遅筋』培養筋肉の作製に成功した」と発表したのは、量子科学技術研究開発機構(QST)らの研究グループです。実は、「従来法では遅筋の特性を持つ培養筋肉を作製できず、筋機能改善法開発の妨げになっていた」ということです。しかし、今回の研究で、「体内の筋肉の柔らかさと線維形状を模倣できるゲル材料の上で、遅筋の特性を持つ培養筋肉の作製に成功した」と述べています。かりに遅筋が病気や不活動によって衰えると、姿勢の維持や長時間の活動が難しくなり、生活の質(QOL)が低下することは想像に難しくありません。加えて、スポーツなどで遅筋の損傷した場合なども、自立した生活を困難にします。本研究では、「このような遅筋の衰えや損傷を予防したり、失った筋機能を取り戻したりするための薬剤や機能性食品、再生医療技術などの開発のためには、研究開発に利用できる培養筋肉が必要であるとの観点から、今回の研究を進めました。そして、体内の筋肉の柔らかさと線維形状を模倣できるゲル材料を独自の放射線加工技術でそれぞれ開発し、その上で筋肉細胞を生育したそうです。本研究グループは、「この新しい遅筋モデルを用いることで、筋機能の衰え(フレイル)を予防・改善する薬剤の開発や、損傷した遅筋の治療法の研究開発がさらに進展することが期待でき、自立した生活を維持できる期間の延伸やQOLの向上といった健康長寿社会の実現に大きく貢献することが期待される」と結んでいます。
日常動作や持久的活動に重要な「遅筋」培養筋肉の作製に成功 ~筋肉の衰えを予防する筋機能の改善法開発に新展開~ - 量子科学技術研究開発機構
画像はプレスリリースから引用させて頂きました。
SM