2025.07.16
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免疫チェックポイント阻害薬と腸内細菌
「免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を高める新たな腸内細菌としてルミノコッカス科に属するYB328株を同定し、その培養と作用メカニズムの解明に成功した」と発表したのは、国立研究開発法人国立がん研究センター研究所腫瘍免疫研究分野を中心とする研究チームです。「腸内細菌のYB328株が腸内で免疫応答の司令塔である樹状細胞を活性化し、その樹状細胞ががん組織まで移動することで免疫効果を発揮することが明らかになった」といいます。加えて、免疫チェックポイント阻害薬の効果をも高める可能性が示されたそうです。因みに樹状細胞とは、「体内の『監視役』であり、異物を見つけ出して免疫の働きを始動させる重要な細胞」だとか。本研究によって腸内細菌叢の構成ががん免疫療法の効果やがん組織内の免疫状態と密接に関係していることが示唆されたと述べています。さらに、経口投与された腸内細菌が、腸とは離れたがん組織にも免疫効果を発揮する仕組みが明らかになったそうです。本研究結果から、免疫チェックポイント阻害薬が効きにくい患者においても、YB328株を投与することで腸内細菌叢の構成が変化し、免疫チェックポイント阻害薬に反応しやすい腸内環境へと整える可能性があることが示唆されたことから、今後YB328株のがん免疫療法への応用が期待されると結んでいます。
腸内細菌は樹状細胞を介して腸から離れたがんの免疫環境に影響する 免疫チェックポイント阻害薬の作用に関与する新たな腸内細菌を同定|国立がん研究センター
SM