2025.07.16
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サルコペニアって何?
「身体機能の低下」「筋力低下」「筋量減少」、この3つの症状が加齢とともに顕在化することをサルコペニアと呼ぶのだそうです。2016年に国際疾病分類に登録されたとか。サルコペニアの診断基準ですが、主に3つあり、一つ目は歩行速度測定。1秒あたり0.8m〜1m未満です。二つ目は、握力測定で、男性は28㎏未満、女性は18kg未満。三つ目は、筋力測定ですが、BIA法またはDXA法があります。ただ、個人でできる測定の目安としては、ふくらはぎの最も太い部分を計測して、男性であれば34cm未満、女性であれば33cm未満だとサルコペニアの疑いが高まると言われています。この他にも、片足立ちの状態が1分間維持できれば、その可能性は低く、片足立ちで15秒未満では注意、8秒以下だと要注意であると言われています。さて、前置きが長くなりましたが、国立長寿医療研究センターの研究チームは、「テキストマイニング(定性データ分析によりトレンドを可視化)とバイオインフォマティクス(生命情報学)解析を組み合わせた革新的なアプローチにより、これまで不明瞭だったサルコペニアの病態メカニズムに関して、サルコペニアの生理的老化との相違点を明らかにした」と発表しました。少し専門的な話になりますが、本研究では「サルコペニア患者と非サルコペニア高齢者の両方で共通して発現が変化している16個の遺伝子(遺伝子にコードされた情報が通常とは違う機能に変化するという意味)が特定された」とのこと。そして、「これらの遺伝子は、免疫系と筋肉を繋ぐ重要な分子であるインターロイキン-7に対する細胞応答(細胞が外部からの刺激により様々な反応や変化を示すこ と)に関与していることが示唆された」と述べています。すなわち、「加齢によってインターロイキン-7関連経路の機能が影響を受けることが、サルコペニアと老化に共通するメカニズムである可能性がある」ということです。本研究グループは、今回の研究成果は「サルコペニアの複雑な病態を解明することに役立つのみならず、将来的な高齢者の筋肉量・筋力低下を効果的に予防・治療するための新たな開発に貢献するだろう」と結んでいます。
「サルコペニア」発症機序に酸化ストレス調整異常が関与することを示唆する知見 | 国立長寿医療研究センター