2025.07.09
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人工甘味料と腸炎の悪化
「人工甘味料として広く使用される糖アルコール『ソルビトール』の摂取が、腸内細菌叢およびその代謝物を介して腸管の炎症性免疫応答を活性化し、大腸炎を悪化させることを明らかにした」と発表したのは北里大学と慶應義塾大学の研究グループです。実は、甘味料として広く使用されるソルビトールは、炎症性腸疾患(IBD)患者の腸内で、健常者などと比べて糞便中濃度が高いことが報告されており、腸管炎症との関連も示唆されてきたのですが、これまではソルビトールそのものが腸内で炎症を誘導しうるのか、またその際に腸内細菌叢や免疫細胞がどのように関与しているのかについては、明らかでなかったそうです。そこで、本研究では、マウスを使った実験で、ソルビトールが腸内環境と免疫応答に与える影響を詳細に解析したとか。そして、その結果、ソルビトール摂取により、実験的大腸炎が悪化することが分かったと述べています。加えて、ソルビトールを継続的に摂取すると、大腸内で炎症性サイトカインの産生が促進されることも分かったそうです。以上のことから、ソルビトールが腸内細菌叢の構成や代謝、免疫応答に影響を及ぼし、腸の炎症を悪化させる新たな仕組みが明らかになったと述べています。本研究グループは、「腸内細菌叢の多様性や機能維持の長期的観点から、水溶性食物繊維など腸内に有益な糖類の摂取も考慮することが重要である」と述べ、腸内細菌・代謝物・免疫細胞の連関に着目した新たな炎症制御の視点から、治療を行うべきであると結んでいます。
人工甘味料が腸炎を悪化させる仕組みを解明-腸内細菌と免疫細胞が連動する新たな炎症経路を特定-:[慶應義塾]
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM