2025.06.25
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脳動脈瘤の破裂リスクの可視化を実現
「脳動脈瘤は、脳の血管がコブ状に膨らむ病気であり、その破裂はクモ膜下出血の主要な原因とされています。死亡率は最大で35%に達しますが、破裂する割合は年間で約2%とされており、臨床の現場では、治療に伴うリスクと破裂のリスクを慎重に評価することが求められています」。こう述べるのは、東京科学大学(Science Tokyo)工学院機械系らの共同研究グループです。加えて、「動脈瘤の成長や破裂には、血管の形状、壁の病理的変化、そして血液の流れ(血流)といった複数の因子が複雑に関与している」とか。そこで、本研究グループは、「もし、患者ごとの脳動脈瘤内部の血流を詳細に評価し、その情報から動脈瘤の成長や破裂を予測できれば、危険な症例に対してのみ治療を行うといった、より精度の高い医療戦略を立てることが可能となる」と述べ、そのためには「患者ごとの血流を正確に評価する技術が不可欠である」との観点から、患者ごとに取得された4D flow MRI画像と数値流体力学解析を融合させる「データ同化」によって、脳動脈瘤内部の血流場の定量的に評価する方法を開発したそうです。つまり、「脳の血管にできる脳動脈瘤の中を流れる血液の動きを、実用的な計算手法によって正確に推定することに成功した」というわけです。加えて、MRI画像と数値シミュレーションを融合した最適化手法(データ同化)を活用することで、患者ごとの血流状態を定量的に把握できるため、将来的には脳動脈瘤の成長や破裂リスクの予測に貢献する可能性があると結んでいます。
https://www.isct.ac.jp/ja/news/56mslt9exqjy
SM