港区立高輪いきいきプラザ

2025.06.25

  • ニュース

免疫異常を引き起こす新しい遺伝子変異を発見

IgEImmunoglobulin E:免疫グロブリンE)は、異物が体内に入った時に排除するように働く「抗体」の機能を持つタンパク質のこと。血液や体液の中に存在し、病原体の働きを止める大きな役割を担っていると言われています。実は、免疫グロブリンには5つの種類があるのですが、IgEは、その一つ。本来の働きとは矛盾するのですが、一方でアレルギー発症の原因にもなることが知られています。アレルギー症状があると、時にIgE抗体が過剰に産生されます。そのIgE抗体がアレルゲンと結合すると、かゆみ、くしゃみ、鼻汁等のアレルギー症状が引き起こされるとか。そこで、血液中のIgE抗体量を測定することにより、その人がどの物質に対してアレルギー症状を示すかを特定できると言われています。さて、本題ですが、免疫の病気「高IgE症候群(HIES)」の原因となる新しい遺伝子変異を日本で初めて発見した、と発表したのは広島大学大学院医系科学研究科小児科学らの研究グループです。このHIESは、「重いアトピー性皮膚炎や繰り返す感染症、血液中のIgEという物質の異常な増加が特徴の病気」です。今回見つかったのは、IL6STという遺伝子の変異で、この遺伝子は免疫の働きに重要な「GP130」というタンパク質を作る役割があるそうです。この新たに見つかった変異によってGP130の働きがうまくいかなくなり、免疫の異常が起こることがわかったとか。加えて、変異がどの場所にあるかによって、親からの遺伝のされ方を予測できる可能性も見つかったといいます。また、本研究によって、「患者の血液細胞を使って、病気を早く見つける新しい診断方法も開発された」と述べています。本研究グループは、本研究の成果はHIESの早期発見と治療に役立つだけでなく、他の免疫の病気の理解にもつながるだろうと結んでいます。

【研究成果】免疫の異常を引き起こす新しい遺伝子変異を発見 〜患者DNAや細胞を用いた迅速な診断法の開発を目指して〜 | 広島大学

 SM

 

一覧へ戻る

カテゴリ
年月で絞り込む