港区立高輪いきいきプラザ

2025.06.18

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がんを「のぞき見る」

東京農工大学大学院工学研究院先端物理工学部門及び浜松医科大学光医学総合研究所らの共同研究グループは、「がん組織モデル(がんスフェロイド)の成熟に伴う内部の細胞状態を、超音波イメージング技術を用いて三次元構造を保ったまま無標識かつ非破壊で可視化することに成功した」と発表しました。この研究の成果は、「がんの原発病巣から転移する過程や、組織内部の動態を生体に近い環境で観察できるようになる」ことです。こうした研究が行われる背景には、私たちの体内に近い環境を再現するがん組織モデル(がんスフェロイド)の実現が、がん研究や創薬の現場で大変重要だからです。因みに、がんスフェロイドとは、多くのがん細胞が集合、凝集して球状の塊になったものです。それを「壊さず・染めず(標識せず)に観察することは長年の課題」だったとか。実は、「従来の光学顕微鏡では、観察できる深さに限界があるため、厚みのあるがんスフェロイドの内部を詳細に捉えることが困難であり、これを克服する必要があった」と本研究グループは述べています。そこで、本研究では、「医療現場でエコー検査として広く使われる超音波観察を応用し、がんスフェロイド内部の構造をそのままのかたちで観察することに成功。これにより、内部の収縮や細胞の死といった重要な変化を、リアルタイムかつ非破壊的に“のぞき見る”ことが可能になった」といいます。今後は、「本手法の空間解像度を向上させて腫瘍の薬剤応答性評価や悪性度判定に応用し、より生体に近い共培養モデルやオルガノイドへの適用拡大を図ることで、がん研究や再生医療分野の発展に貢献していきたい」と結んでいます。
https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2025/20250617_01.html

画像はプレスリリースから引用させていただきました。

SM

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