2025.06.18
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新たなマラリアワクチンの開発
熱帯熱マラリア原虫は、感染した赤血球表面上のRIFINというタンパク質を使い、免疫細胞を抑制することが明らかとなっていましたが、ヒト免疫細胞の応答や攻撃については不明だったとか。そこで、大阪大学微生物病研究所らの研究グループは、「 RIFINがナチュラルキラー細胞の抑制化受容体を刺激してその機能を抑制する一方で、ナチュラルキラー細胞は活性化受容体を介して原虫感染赤血球を特異的に攻撃することを明らかにした」と発表しました。加えて、同定したのと類似のRIFINは世界中の原虫株に存在し、原虫とヒトは共通の攻防機構を有することを明らかにしたと述べています。ご存じのように、マラリア被害の最大の問題は、「脳機能障害など重篤な症状を引き起こす熱帯熱マラリア原虫の感染であり、この熱帯熱マラリア原虫は赤血球感染時に自身のタンパク質を赤血球表面へと輸送・発現し、これを使い、抗体からの攻撃回避や脳機 能障害の原因である微小血管接着を引き起こす」ことです。当発表によると、本研究成果により、ナチュラルキラー細胞がマラリア感染時の免疫応答のフロントラインに存在し、原虫とナチュラルキラー細胞の攻防は多様な原虫株において共通して起きることが明らかとなりました。また、 数億種以上存在するRIFIN のうち、同定したRIFIN と類似の機能を持つRIFIN は原虫株間で共通に存在することから、これらを標的とすることで効果的なマラリアワクチンを開発できると結んでいます。
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM

