2025.06.18
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中高齢者の気分障害と認知症の前兆
超高齢化社会において、「中高齢者に発症する気分障害(うつ病や双極性障害)が年々増加しており、介護者、家族、社会全体に身体的、心理的、社会的、経済的影響を与えることから大きな問題となっている」と指摘するのは、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構量子医科学研究所脳機能イメージング研究センター(QST)らの研究グループです。しかし、中高齢者の気分障害(うつ病や双極性障害)が、認知症の前兆として現れるその病態メカニズムについては、よく解明されていないとの観点から、本研究グループは「認知症の原因物質の一つとして知られるタウタンパク質の脳内沈着を、QST独自の技術で可視化し、中高齢発症の気分障害患者では、認知機能が正常な段階でタウ病変が出現していることを明らかにした」と発表しました。具体的には、QSTが開発した、様々な認知症や関連疾患におけるタウ病変を鋭敏に捉えることができる世界で唯一のPETイメージング薬剤18F-PM-PBB3を用い、40歳以降で発症したうつ病および双極性障害の方を対象にPET検査を実施したそうです。そして、その結果、同年代の健常者と比較して、中高齢発症の気分障害の患者は、タウ病変を有している確率が約4.8倍高いことが明らかになったと述べています。本成果により、中高齢発症の気分障害で認知症と共通する病変が検出可能となり、今後は病態に基づく客観的診断と根本的な治療の開発が進展することが期待できると結んでいます。
中高齢発症の気分障害に認知症の原因タンパク質が関わることを脳画像で実証‐QSTの独自技術でタウタンパク質病変を可視化し、客観的診断・治療へ‐ - 量子科学技術研究開発機構
画像はプレスリリースから引用させて頂きました。
SM