2025.06.05
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男性ホルモンのテストステロンがアルツハイマー型認知症のリスクを低減
アルツハイマー型認知症(AD)には性差が存在するそうで、患者の約3分の2が女性であるとか。残念ながら、この違いには何らかの生物学的な要因が関与しているようですが、詳細なメカニズムは十分に解明されていないと言われています。 ご存じのように、AD 患者の脳では、アミロイドβ(Aβ)とよばれるタンパク質が適切に処理されずに蓄積し、病態の進行に寄与していることはよく知られています。そこで、「男性ホルモンであるテストステロンが、脳内の免疫細胞であるミクログリアに作用し、オートファジー(細胞が不要になったタンパク質や細胞内小器官、異常タンパク質などを分解し再利用するしくみ)を活性化することで、アミロイドβの蓄積を抑えていることを発見した」と発表したのは、九州大学大学院歯学研究院 OBT研究センターらの研究グループです。女性は閉経によってエストロゲンが急激に減少し、最終的には男性よりも低くなりますが、男性のテストステロンレベルは、加齢によって緩やかに減少するものの、生涯にわたって女性よりも高いレベルを維持していると言います。本プレスリリースによると、近年、血中テストステロンの低下がADの発症リスクを高めることや、高齢女性に対するテストステロン補充が認知機能を改善することが報告されています。本研究グループは、「テストステロンによるミクログリアのオートファジー活性の制御が、性別によるADの発症・進行の違いを生じさせる要因のひとつである可能性を示している」と述べ、今後「ADの発症における性差の理解を深めるとともに、生物学的な性別を考慮した、ADの予防・治療戦略の開発につながることが期待される」と結んでいます。
テストステロンがアルツハイマー型認知症のリスクを低減 | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY)
画像はプレスリリースから引用させて頂きました。
SM