2024.11.08
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マウスのしっぽと人間の身体バランス
マウスのしっぽには、私たちが想像している以上に、大きな意味があり、重要な役割を果たしていることが沖縄科学技術大学院大学(OIST)の新たな研究によって分かったそうです。具体的には、「傾斜台、高速ビデオでの撮影、数学的モデリングを駆使した新たな実験セットにより、マウスがバランスを保つためにしっぽを鞭(むち)のように振る様子を実証した」そうです。その結果、この発見は、人間の身体のバランス問題に関する理解を深めるのに役立ち、多発性硬化症やパーキンソン病などの神経変性疾患の早期発見や治療に道を開くものであると述べています。例えば、自転車で起伏の多い道や急カーブを走る際に私たちが体を傾けるように、マウスは尾を受動的なバランス補助として使っていると考えられてきましたが、本研究チームは、マウスが、足元の表面が傾いた際にバランスを回復させるために、尾を傾きと反対の方向に非常に素早く回転させることを発見。尾は軽いとはいえ、素早く振り回すことにより、落下する方向と逆の方へと体を引き寄せるため、かなりの運動量を生み出すとのことです。つまり、私たち人間も、「後ろに倒れそうなときに手に鞭を持っていたら、その鞭を素早く振ったら、その鞭の方向に体を引き寄せることができるだろう」 と述べています。本研究では、「マウスが動く際の尾の役割を実証し、健康なマウスを使った実験の難易度を上げることで、バランス能力の微妙な変化の評価方法が向上し、神経変性疾患の初期症状の研究で、より高い精度を出すことが可能となった」と結んでいます。