港区立高輪いきいきプラザ

2024.08.19

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運動による老化細胞の抑止効果のメカニズム

東京都健康長寿医療センター 老化制御研究チーム 老化細胞研究より『運動が、慢性疾患を増悪化する細胞老化を抑制するメカニズムを解明』というタイトルのプレス発表がありました。

<プレスリリース>運動が、慢性疾患を増悪化する細胞老化を抑制するメカニズムを解明|研究成果|地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所 (tmghig.jp)

報告によると、「動物モデルを用いた研究か ら、運動によって筋組織から産出される PEDF と呼ばれる因子が梢組織の細胞老化を抑制する働きを持つこ とが明らかになりました。」「本研究では、筋細胞で産生されるマイオカインに着目し、細胞老化を抑制する活性を持つマイ オカインの探索を行い、候補となる因子 PEDFを得ました。」との事です。

慢性疾患を治療するために運動療法がしばしば用いられますが、なぜ運動療法が有益な作用を示すのかというメカニズムはこれまでは不明でした。この報告では、運動を行うことにより筋肉の収縮に伴い分泌されるさまざまな生理活性物質、あるいはホルモンであるマイオカインに着目し、このマイオカインの中に含まれるPEDFというタンパクが老化細胞の蓄積を抑制することが明らかになったということです。マイオカインには脂肪分解、インスリンを増やす、血糖値を下げる、美肌作用と様々な効果が得られることがわかっていますが、もうひとつ老化細胞の蓄積を抑制するという効果もあったということになります。

老化細胞を除去するにはセノリティック薬」という薬があり、これはこれで老化防止に熱い期待が寄せられている(「老化細胞を除去する薬」で若返り 実用化へ高まる期待 - 日本経済新聞 (nikkei.com))ようなのですが、薬なので副作用もあるようです。この点、「運動は、生体が本来持っている細胞老化抑制作用を増強すると考えられ、セノリティック薬のような副作用は少ないと考えられます。」とのことです。

やはり運動することは良いことばかりなのだなと思いましたが、しかし最後に、「しかしながら運動療法はすべての患者に適用できるわけではありません。本研究が目的とした運動療法の生化学的作用点の解明は、運動の有益な作用を享受するための手法の開発へと繋がることが期待されます。」とあり、ただ運動すれば良いといういうことではなく、効果的な運動療法というものをさらに探索する必要性はあるようです。

高輪いきいきプラザ H.H.

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