港区立高輪いきいきプラザ

2024.07.19

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訪問診療と血液検査結果

高齢者にとって、フレイルは避けて通れない課題です。ご存じのように、フレイルは「加齢に伴う予備能力の低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」と定義されていますが、フレイルが進むと転倒などの健康障害を起こしやすく、死亡リスクも高まります。さて、本題です。訪問診療を受ける高齢者はフレイルであることが多く、適切な診療やケアの計画にはフレイルの評価が重要であるとの観点から、名古屋大学医学部附属病院老年内科らの研究チームは、フレイルの評価方法として最も広く知られているフレイルティインデックス (Frailty Index: FI)に加えて、血液検査結果などを用いる FI ラボに注目し、訪問診療を受ける高齢者に関して、「FI ラボは、少なくとも一般的な FI と同程度に予後を予測することが分かった」と発表しました。訪問診療では大きな医療機器の使用は難しいことが多いため、血液検査などのどこでも利用できる検査結果を有効に活用することが望ましいのです。本研究グループは、訪問診療を受け始める患者を登録する研究のデータを解析し、訪問診療開始時の血液検査から算出した FI ラボが、一般的な FI とは独立して、1 年以内および 2 年以内の死亡を予測することを見出した、と述べています。さらに、FI ラボの予後予測能は、一般的な FI と同等以上であることが示されたとも述べています。要は、FI ラボは、日常診療で行われる検査結果を利用して追加の手間や痛みを伴わずに算出でき、仕組みさえ整えれば電子カルテなどに自動で表示することも可能なのです。もちろん、「FI ラボは検査の異常のみを評価するため、患者全体の病状や身体機能などの評価の代わりにはなりませんが、より正確なリスク評価に役立ち、早期から訪問診療のゴールについて話し合うきっかけになるだろう」と当プレスリリースは結んでいます。

血液検査結果から算出するフレイル指数を用いた訪問診療を受ける高齢者の予後予測 - 名古屋大学研究成果情報 (nagoya-u.ac.jp)

 SM 

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