港区立高輪いきいきプラザ

2024.07.19

  • ニュース

高齢者と睡眠薬

加齢に伴い、不眠を訴える高齢者は増加傾向にあるようです。もちろん、個人差はありますが、健康な人でも加齢によって徐々に睡眠時間が短縮し(65 歳で6時間程度)、早寝早起きの朝型化の傾向がみられるようです。日本睡眠学会によると「高齢者は、全般的な睡眠の質の低下のほか、身体活動・基礎代謝量の減少、うつ病やせん妄、皮膚疾患、薬剤の服用が原因となって不眠を訴える頻度が多くなる」との事ですが、睡眠障害や不眠の改善のためにどうしても睡眠薬の長期服用に陥りやすくなります。そこで注意したいのは、睡眠薬の選択と薬物依存の問題です。睡眠薬は大きく分けて、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬がありますが、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、あまり使わないようにというのが一般的に言われています。特に高齢者の場合、ふらつきや転倒のリスクがあるからです。このほかにも、メラトニンに似た働きをする「ロゼレム」や覚醒系神経に働くオレキシンをブロックして不眠症を治療する「ベルソムラ」という薬もあります。ベルソムラは、転倒や日中の眠気などの副作用は少ないとか。また、寝つきが悪い入眠障害の人にも効果があると言われています。ただ注意したいのは、通常は飲んだ薬は肝臓や腎臓で分解されて体の外に出されますが、高齢者の場合、若い人に比べて、薬の分解能力が落ちるので、若い人と同じ分量の薬を飲むと血液中の薬の濃度が高くなることを忘れてはなりません。ともあれ、高齢者は若い人に比べて副作用が出やすいため、睡眠薬を飲むときは、効果と副作用のバランスを考慮することが大切です。

SM

一覧へ戻る

カテゴリ
年月で絞り込む