2024.07.10
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フロリダオオアリは優秀な外科医?
アリの仲間「フロリダオオアリ」が、負傷した仲間の脚を診断し、必要に応じて傷口の洗浄や切断などの治療を選択的に行っていることを発見した、と発表したのはドイツのヴュルツブルク大学、スイスのローザンヌ大学、沖縄科学技術大学院大学(OIST)からなる研究チームです。驚くべきことは、「この治療法は回復を助けるだけでなく、アリが傷の種類に応じて治療を選択する」ということだそうです。「切断行動に関して言えば、これは文字通り、動物界で同じ種の別の個体によって洗練されかつ体系的な外科的切断が行われる唯一のケースです」と述べています。具体的には、当プレスリリースは次のように説明しています。少し長くなりますが。「本研究では、腿節(たいせつ)の裂傷と足首のような脛節(けいせつ)の裂傷という2種類の脚の負傷を分析しました。腿節の負傷では、すべてのケースで、巣の仲間が切り口を洗浄した後、脚を完全に噛みちぎりました。対照的に、脛節の負傷の場合は、口器による洗浄のみを行いました。いずれの場合も、こうした介入により実験的に感染した傷を持つアリの生存率が大幅に向上しました」。そして、研究者の一人は「アリが傷口を診断し、感染しているか、無菌であるかを確認し、それに応じて他の個体が長時間にわたって治療するということは、人間の医療システムに匹敵する唯一の医療システムであるということが言えます」と述べ、別の研究者は、「すべて生まれつきの行動なのです」と話しています。つまり、「手術で命を救うのは、もはや人間に限った話ではない」ということでしょうか。
アリは現場で救急医療を行う | 沖縄科学技術大学院大学(OIST)