2024.07.03
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お口で食べて心身の健康維持
食べ物(特に美味しいもの)を食べると元気になるのはどうしてでしょうか。それは「栄養の問題だけではない」と訴えるのは、東京都健康長寿医療センター老化脳神経科学研究チームの記事です。「胃や血管から栄養を補っても、元気が出ないことがあるのは、なぜ?」と問いかけます。本研究チームは、「のみ込むときにのどが刺激されると、甲状腺から健康に大事なホルモン(体内で作られ、血液によって全身に運ばれ、特定の細胞に作用する化学物質)が分泌されることを発見した」と述べています。実は、甲状腺は、全身の代謝を調節する大切なホルモンであるサイロキシンやカルシトニンを分泌。サイロキシンは全身の多くの細胞に働いて代謝を活発にし、サイロキシンが足りなくなると、冷え性やうつ症状を伴う、甲状腺機能低下症という病気になり、ときには認知症に間違えられることもあるとか。カルシトニンは骨の細胞に働いて、骨を丈夫にする作用があるようです。また特筆すべきは「甲状腺には自律神経も豊富に分布している」と言います。つまり、内臓の働きを調節しているのです。本研究グループは、「食べ物がのどを通る刺激によって、甲状腺からのホルモンの分泌が増えるかを調査」。やわらかいバルーンを口からのどに出し入れすることで、麻酔をかけたラットののどを刺激したところ、サイロキシンとカルシトニンの分泌が、刺激前の約2倍に増加したそうです。つまり、この反応は「のどに物が触れたことを脳に伝える神経が刺激され、甲状腺につながる副交感神経が活性化することで起こることも明らかになった」というわけです。もうお分かりですね。お口から食べることがいかに大切か。食べ物を飲み込むときには、これらホルモンの分泌が高まり、「全身の細胞の代謝を高め、精神機能も活性化」。加えて、「骨の細胞に作用して骨を強くする」とか。本研究から「口から食べて飲み込めることは心身の健康の維持や健康長寿に関わるという科学的根拠が少しずつ見えてきたところである」と結んでいます。
(画像は東京都健康長寿医療センター老化脳神経科学研究チームの記事より引用させていただきました)