2024.06.21
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魚のフンで病気を見つける
産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門先端ゲノムデザイン研究グループ らの研究チームは、フラボバクテリウム サイクロフィラムによるアユやニジマスの感染症で、予防法がないため世界的に問題となっている、「冷水病に感染した魚のフンにさまざまな特徴的物質・微生物を発見し、これらを病気の早期発見のためのバイオマーカーに利用できることを明らかにした」と発表しました。産総研のマイクロバイオーム解析技術、理研の解析技術や近大の魚類感染実験技術を用いることによって、「フン中の代謝物と微生物遺伝子を網羅的に解析し、水槽中にたまったフンに含まれる冷水病菌感染魚に特徴的な代謝産物と微生物の特定に初めて成功した」と述べています。実は、アユやニジマスで世界的に深刻な冷水病は、ワクチンでの予防が困難なため早期診断が重要なのだそうです。「フンを用いることで、従来のように魚の組織を採取することなく非侵襲で診断でき、定期的かつ包括的な健康診断が可能になる」と述べ、本技術が魚病による経済的な損失や環境負荷の低減に貢献できると結んでいます。