港区立高輪いきいきプラザ

2024.06.19

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迷うことにも意味がある?

実は、「迷うことにも意味がある」のだそうです。「見た目は同じでも、決断を迷った末の運動と迷わずに行う運動は、脳は異なる運動として学習することを発見」と発表したのは、国立研究開発法人情報通信研究機構らの研究グループです。「運動の学習には、その運動の実行に至るまでの決断の迷いが反映されていることを明らかにした」とは、どういう意味なのでしょうか?「これまでの意思決定や運動制御の理論では、一度意思決定がなされてしまえば、その決定に対する確信度合には依存せずに同じ運動が実行されると考えられていた」そうです。しかし、本研究グループは、「これまでの考え方を覆し、脳は決断を迷った末の運動と、迷わずに行う運動を区別し、異なる運動として実行していることを明らかにした」というのです。例えば、サッカーのPK戦。本研究では、「選手はゴールキーパーの左側への動きを見て確信を持って右隅にボールを蹴る場合もあれば、ゴールキーパーが動く方向に確信が持てないまま同じように右隅に蹴ることもあります。どちらも見かけ上は同じ運動であるため、この『右隅に蹴る』という動作について脳から同じ指令が出されていると考えられてきた」と言います。つまり、「これまでの意思決定や運動制御の理論では、一度意思決定がなされてしまえば、その決定の確信度合には依存せずに同じ運動が実行されると考えられていた」というのです。今回の研究では、「これまでの考え方を覆し、決断を迷った末の運動と迷わずに行う運動は、脳の中では区別され、別のものとして記憶されていることが分かった」そうです。つまり、「決断に至る過程」とその後の「運動」は脳の中ではセットで学習・記憶されているというのです。これは、空のゴールにうまく蹴る練習をいくらしても、迷いを生む「ゴールキーパーがいる状況下」では、同じところに同じように蹴れるとは限らないことを意味しているそうです。運動の練習は、意思決定場面とセットで練習する必要があることが示唆されたという結論に達しました。本研究グループは、「スポーツ場面では、いつでも同じパフォーマンスを発揮するために、『迷うな!』という指示が飛ぶことがありますが、今回の研究結果では、脳は、むしろ迷いを受け入れ、迷いに応じた運動を作り出すことで、パフォーマンス低下を防いでいることが分かった」というのです。つまり、「現実場面で安定したパフォーマンスを発揮するためには、ただ単に目的の運動を達成するための練習に注力するのではなく、事前の意思決定状況とセットで運動を学習する必要があることが示唆され、新たなスポーツ等の指導方法につながるのでは」と結んでいます。

迷うことにも意味がある|2024年|NICT-情報通信研究機構

 

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