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2020/10/27 07:30:00
新型コロナウイルスはパンデミックではない、という研究報告(シンデミックって何?)
新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、「パンデミック」ではない
という研究報告書が、アメリカの医学雑誌『Lancet』(ランセット)に掲載されました。
「パンデミック」ではなく、「シンデミック」である。という内容のようですが、では、「シンデミック」とは何でしょうか?
シンデミックとは、1990年代に、アメリカの医療人類学者のメリル・シンガーが考案した概念です。
貧困のような社会的要因と様々な伝染病の相乗的な作用を指して「シンデミック」(シナジーとエピデミックを合わせた造語)と定義しました。
雑誌に掲載された研究報告書には、
『今回のCOVID-19の世界的流行は、慢性疾患の増加と、公衆衛生の失敗が重なって生じた壊滅的状況が拍車をかけている』
と書かれています。
研究は、204の国や地域で、死因、疾病や傷害とリスク要因を分析しました。COVID-19が重症化しやすい基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)への備えが十分であったかを調査したのです。
その結果、慢性疾患が世界的に蔓延していること、さらには、予防可能なリスク要因を抑制すべき公衆衛生が機能していないことが原因で、COVID-19のような急激な衛生緊急事態に対して脆弱な状況が続いていることが明らかになりました。
私たちが直面している脅威はシンデミックと言え、その性質から、それぞれの病気を治療するだけでなく、その根底にあり病気を形づくっている貧困、住宅、教育、人種といった社会的不平等の是正にも取り組むことが要求されます。どれも、人の健康を左右する大きな要因です。
このことは、単に「パンデミック」として見た解決のためのアプローチ(COVID-19のワクチンや薬の開発などの対策)だけでは解決できない状況であるという事で、教育、雇用、住居、食糧、環境などを含む、より大きなアプローチ(シンデミックアプローチ)を行う事が必要なのです。
現在、様々な影響が身の回りに出ています。
健康上の問題もあれば、経済的な問題、新型コロナウイルスに感染し、身近な方を失った人もいます。
それぞれの理由はわかりませんが、自死も増えています。
環境の変化で、強い不安感に襲われている人もいるでしょう。
高齢者では、認知症状が進行する方も多いように感じます。
在宅生活が続くことで、老若男女問わず虐待も増えています。
これらは、ワクチンや薬が開発されたからと言って改善されるものではありません。(改善されなくもないのですが…)
突然始まった、新型コロナウイルスの世界的流行は、私たちの身の回りの至るところに影響を及ぼしています。
◇引用記事:THE LANCET [COVID-19 is not a pandemic]
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)32000-6/fulltext